■平面多層構造の補足

前回、対象を板状に多層配置する絵が多い、これを「モナリザ構図」あるいは「学芸会の舞台構図」とし、筆者はそれを苦手とする、という点を説明しました。したんですが、肝心の空間の平面化の説明が中途半端で判りにくかった気がするので、補足説明を行います。やりたいようにやるのよ、自分で運営してるサイトなんだから。






前回例に出した二枚の絵の内、一枚目のような構図の絵は私、否、二枚目の空間を再現した絵とは全く異なる性質のものである、という事を述べたわけです。同じ情景を絵にしたものですが両者は「あなたと居たい…」と「あなたと遺体」くらい違う、というのが筆者の主張でした。この点をもう少し詳しく図解して置きます。



この絵の基になっている情景は以上のような状態で、廊下と二人の人物、イス、そして奥の入り口がこんな感じで空間内にそれぞれ独自の位置を占めている状態を絵にするべきものです。どの角度、どの視点から描いてもいいのですが、いずれにせよ、この空間はキチンと保持して欲しい、というのが筆者の切なる願いなのです。



ところが一枚目の絵ではその空間を一切無視して対象を二枚の平面にしてしまい、これを前後に重ねただけの構図になっている、というわけです。絵の中にあるのは二枚の板状に変換された対象物だけ、それを重ねただけで空間なんざどこにも無いのです。実際、両者の位置関係は無茶苦茶で、上記のような空間に人物を配した場合、こんな構図には絶対になりませぬ。でも世の中にはそんな絵が溢れてるのよ、それを苦手とする筆者はとても大変なのよ、というお話だったのです。

では、この点をもう少し詳しく説明しておきましょう。

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