■いつでもどこでもレーダーが



とりあえず、レーダーと言うとこんな感じの画面を考えるよね。

「そりゃそうだろ。他に何かあるのかよ」

…あるんだって話は前にしたよね?

「…オレが覚えてると思う?」

いや、全く。
というわけで、もう一度、ここでレーダーの見方を確認しておこう。
上のようなPPIスコープ(Plan Position Indicator scope:平面座標指示画面)は、
基本的に中心点に自分がいて、
レーダーの走査ビームを半径とする円周で情報が示される。
もっとも、この画面は21世紀現在の航海用レーダーで、
画像処理にコンピュータをカマシてある上に、
表示も四角い画面のブラウン管だから、
第二次大戦時のレーダー画面とはかなり異なる。
まあ、あくまで参考と言うことで、ひとつ。
で、ここで光って見えてるのは全て、なんらかの電波の反射があった場所だね。

が、射撃照準レーダーにおていは、こんな画面いらないんだよ。
とういうか、ムダだ。目標までの距離と方角がわかればいいんだし、
自分から後ろの方向の情報なんてあってもジャマなだけだ。

「じゃあ、これって戦争向けではない?」

いや、警戒用レーダーの表示としては、3次元表示でない限り、これがベスト。
単に、射撃管制レーダーには向かない、という話だ。
ちなみに、日本では海軍も陸軍も、このPPIスコープの開発は実験段階で終ってしまう…。

では、他にどんな表示があるのか、その1。

初期のレーダーで使われていたAスコープ。
というか、これがレーダースコープの源流でヤンス。
その画面はご覧のように極めて単純で、横軸が距離を示し、
縦軸は反射波の強さを表してる。
実際の画面はノイズの嵐で、その中から突出してる部分を読み取るらしい。

が、この表示は目標方向の情報が全くない。
まあ、レーダは本来そういうモノなのだが、さすがに不便だ。
よって、特定の方向を見るだけの射撃管制レーダーならともかく、
警戒用レーダーには全く向かない表示だったりする。
相手がどっちにいるか、全くわからないのだから。

でも、日本海軍は、警戒レーダーでも、これでほぼ最後までがんばった。
よくやるなあ、と思う。
ガッツがあったのではなく、技術が無かっただけだが…。
この表示、本来なら、射撃管制にこそ向いてるのだが、
当時の日本海軍のレーダーにその精度を期待するのはヤボだろう。

ちなみに、この二つの情報だけでも結構なんとかなった夜間戦闘機では、
このAスコ−プが大戦末期まで使われ続けたらしい。
当時の航空レーダーは地面反射の影響が避けられなかったはずだから、
搭載レーダーの走査有効距離は自分の高度とほぼ一緒。
よって3000〜6000mくらいのレンジだから、これで十分だったのだろう。
基本的に自分の機体が向いてる方向が目標の方向だし。



Aスコープの発展型、その名もBスコープ(ヒネリ無し)!
これでようやく方位情報も表示されるようになる。
その代わり、反射波の強さ(=目標の大きさだ)は、
光点の明るさの変化で読み取る事になった。
数値として(グラフからだが)読み取れるAスコープに比べると、
目標の大きさの判断はややあいまいになった、という話もあり。

画面上の2本の方位ラインは、自艦から見た角度を示している。
終戦ギリギリの段階で登場したMark13型では
100mil (100×2000π 約5.75度)の角度幅として2本の線が表示されていた。
自艦は両線の中間に位置するから、左右で50milずつという事に。

で、このBスコープの登場によって、画面上で目標までの
距離と方位を直接読み取れることができるようになり、
後はその数字を例の射撃管制室に教えてやるだけでオシマイ、となる。
まさに射撃管制のために造られた表示画面だろう。

ちなみに、方位幅はレーダービーム幅ではなく、
レーダーを左右に振ってスキャンする走査エリア幅なので注意。
レーダービーム幅(角度)はもっと狭い。

ついでに事実上のフェイズドアレイ レーダーだったFH Mark8では、
アンテナを相手方向に向けてしまえば、スキャンのための首フリは不要だった。
これは、物理的にレーダーを左右に動かしてスキャンするのではなく、
電気的にレーダー波を左右にずらしてスキャンを行っていたからだ。
1942年の段階で(笑)。
いやはや、こういう軍隊と戦争しちゃダメよ…。
もっとも、その最新性ゆえ、故障も多かったらしいが…。


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