■雑密の山の跡
でもって杉並木の向こうに建物が見えてきました。
あれが宝光社でしょう。
そこにはなんとお神輿が。
ええー、この山道の中でこれを運ぶんですか…。
平地がちな都市部ならともかく、山中で神輿ってスゴイな。
こちらの拝殿はかなり装飾性が強く、かつ土台が石組みですから、
少なくとも江戸期のものだと思います。
このゴチャゴチャした装飾は間違いない江戸期の建物でしょう。
少なくとも明治10年よりは古いはず。
わびさびとか、枯山水とか、日本の文化は地味、落ち着いてる、という印象が
国内はもちろん、海外でもよく見受けられますが、少なくとも江戸期の神社建築は例外です。
日光東照宮が基本形であり、こういたゴチャゴチャした装飾が付きまくるのです。
普通はこれを朱塗りにしちゃって彫刻に彩色までやるんですが、ここは白木のままでした。
これを上品なセンス、と見ることもできますが、
おそらく予算が足りなくて色が塗れなかった、といった辺りが真相のような気も(笑)…。
ついでにここにも菊の紋の陣幕がありました。
16枚花びらですが、一重なので、皇室は関係ないはず。
そもそもこの一帯は、徳川家の支配下にあったような場所ですしね。
で、江戸期まで寛永寺の配下にあったなら、
天台宗の菊の紋かとも思ったんですが、それも違う。
そもそも今は神社ですしね。
………となると、なんだ、これ?
江戸期の神社装飾でおなじみ、変な顔の象だぞう。
こう、見たことの無いものを伝言ゲームの末端の人が立体化してしまうとどうなるか、
という端的な例の一つでしょうね、これ。
象牙は現物が見れたはずで、結果、牙だけ妙にリアルというあたりも含めて。
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