■朝食に行こうや
お勤めが終わると「皆さん、こちらへ」と本堂の外に案内される。
なんだろう、とついて行くと、なんだか地下の施設に。
こここ、これはついに密教の魔法秘密施設が見れるのか!と思ったら、
なんだかコジンマリした部屋に入ってゆく。そこで
「この部屋に仏舎利が収めてあります」
と、案内の若いお坊さんが、小さな容器を指差して教えてくれたのでした。
…あれま、仏舎利ですか。
とりあえず撮影は遠慮したんですが、後ほどこの仏舎利ルーム、
南海電鉄の観光ポスターになっていると知る。
…仏舎利。仏陀閣下のお骨(こつ)ですね。
日本中に数箇所、これを持ってるお寺があります。
(私の知ってる範囲では他に浅草寺、川崎大師(ここも密教寺院だ…)など)
これ、たいていは“親切なネパールの人たちから分けてもらったよ!”
という事になってます。
おいおい、紀元前480年ごろに死んだ人(仏だが)の遺骨が現存するのかよ…
と思ってしまいがちですが、必ずしもハッタリとは言えなかったりします。
仏教神話「ラリタ・ヴィスタラ(Lalita
vistara)」などによれば、
仏陀は死後火葬され、遺骨は8つに分けられた、とされます。
うち一つが仏陀の出身部族であるシャーキャ族に渡されたという話がありにけりかも。
(シャーキャ族の漢語訳が「釈迦」。なのでお釈迦さま、は釈迦族さん、という意味になってしまう。
田中(仮名)さんを呼ぶのに、日本人さん、と呼びかけるような事態に。
なので本当は釈迦牟尼(しゃかむに)さん、つまり釈迦族の聖者さん、
あるいは釈迦牟尼世尊(しゃかむにせそん)さん、釈迦族の聖者で仏一号機さん、と呼ぶ必用あり)
でもって、ああ、伝説のアレね、くらいに思われてたこの遺骨でしたが、
1897年、イギリス人の発掘隊によって、ネパール南部(現在はインド?)の
ピプラーバー(ピプラワー)にあった古い墓所から、なんと現物が発見されてしまうのでした。
(これはシャーキャ族の仏陀の骨で、家族と一緒にここに埋めとくよ、と墓誌がついてた)
仏教文化のトロイア遺跡みたいなもんですね。
なので、日本中に散在していらっしゃる仏舎利、
みんながみんな、ネパールから来たよ、とされるのは、
この発掘品のおすそ分けだから、という大義名分のためでしょう。
ちなみに、どこのお寺にあるのも、ホントに破片、米粒くらいの大きさの骨片だけです。
が、いずれにせよ、大日如来ラブな密教寺院にとって仏陀の骨になんの意味が…
という疑問は、私もいい大人ですから、間違っても口には出しませんし、
旅行記の記事に書いたりもしません。
…しませんとも。
そこから出てくると、こんな展示。
南極の石、化石、さざれ石。
…ざされ石、石灰質角れき岩の事ですよね?岐阜県からの寄贈らしいし。
いや、まあ寄付された以上、展示するべきなのかも知れませんが、
密教寺院にと(以下略)。
…というような事があって、後は食事となります。
昨晩、カメラを忘れたので撮影し損ねたのですが、
かように立派なお部屋で食事となるのです。
庶民も庶民、下から数えた方が早い、という人生が長い私のような人間は、
スリッパはおろか、靴下まで脱いでしまいそうになる部屋。
いや、ほんと雰囲気あるんですよ、ここ。
朝食はこんな感じ。
おいしゅうございました。
今まで、全世界の宿泊施設で私が食べた中では、間違いなくトップクラスです。
ちなみに、高野山なんだから、寝てもさめても高野豆腐ざんまいであろう、
と勝手に思ってたのですが、実際は夕食に少し入ってただけでした。
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