■銅鑼衛門

さて、ペロ君、ようやく香港疾風怒涛編にはいったので、
またしばらく香港における日本文化を見て行くよ。

「さいですか」

トップバッターは日本のキャラクターとしては
おそらく最も早く世界展開した彼、ドラえもんだ。
もっとも、それは小学館が世界を相手に戦ったわけではなく、
勝手に海賊版として香港、台湾を経由してタイあたりまで広まったもの。

「いいのか、それ」

まあ、結果的には、最初にタダで体験版を配って一気に普及させ、
後からガッポリ回収するような形になったから、結果オーライだろう。

余談だが、その海賊版全盛時、朝日新聞の天声人語殿下が、
無報酬でアジアに夢を配る話として、ここら辺の事情を取り上げた事がある。
どんなにアジアの子供達に人気が出ても、
お金は取らないんだ、という方向性の美談になってた。

「すごい解釈だな、それは…」

すごいんだよ(笑)。
おかげで、無知は罪だと痛感させられた。いい人生体験だったと思うぞ。



「ブックショー?」

そう、香港初日のアレことブックショーだよ。
そこに出てた小学館系のブース。
で、ご覧のコーナーほぼ全がドラえもん関係の本で埋め尽くされてるのさ。

「すごいな。漫画以外も、いわゆる学習読み物系とかもあるね」

この手の本まで出てるのは、大したものだと思う。
ちなみに中国ではドラえもんを“多啦A夢”と書くんだ。
(二つ目の字は閲覧環境によっては文字化けするかも。口+“拉”)

「…なんでアルファベットが入ってるの?」

全くわからん。“オバケのQ太郎”的なノリかなあ。




でもって、そんな彼の認知度の高さを痛感した看板。

「なんだこれ」

電気ヒーターの安全使用の仕方、といった告知なんだが、
ご覧のようにドラえもんキャラ総出演だ。

「スネ夫とジャイアン抜きだけどね」

まあ、世の中いろいろあるさ。
で、注目なのは右下の広告主の名前。
機電工程署とある。

「それが?」

これ、香港の行政機関のひとつなんだよ。
つまり、ドラえもん、政府の広報キャラとして使われてる。
相当な知名度と、キャラクターとしての安心感があるんだろう。
正直、ここまで一般化してるとは、ちょっと驚いた。

「でもさ」

何?

「香港て、フィリピン北部と同じくらいの緯度なんだろ。
…ヒーターなんて使うの?」

…あ。
そういわれるとそうだな。

まあ、いいや、いろいろあるさ。
とりあえず、今回はここまで。


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