■帰りたい帰れない魔境マカオ
…レーストラックの中のグランドで、サッカーやってるんですけど…。
しかも、まだ後半戦が始まったばかり。
…あれ?これでホントにドッグレース開催されるの?
とりあえず、コースをグルッと一周し、場内を歩き回ってみるも、
犬も猫もタスマニアタイガーも、一匹たりとも見当たらず。
うーん、状況が全く飲み込めませんが、どう見てもあと1時間以内にドッグレースが
始まるとは思えない状況です。
ホームページだと、毎週末はレースアあり、とされてたんですけどね…。
とりあえず、これ以上ここに居ても何もなさそうなので、撤収を決意。
つまり、マカオの所要攻略目標の前に完全敗北…。
ちなみに、レーストラックの向こうに見えてる山は、モンハパークと言う公園で、
これまたポルトガル時代の砲台跡があるぞ、と帰国後に気が付いたのですが、
まあ、この段階では大分疲れてたので、どっちにしろ立ち寄らなかったでしょう。
が、撤収を決意したはいいが、またタクシーが見当たらない、
たまに見かけても全く止まらない(涙)。
しかたないので、多少は捕まえやすいと思われる、
大通らしき方へと歩いて行く。
…海にでちゃいました。
画面の奥の方に日が沈んでますから、
どうやら、フェリーターミナルとは反対側、半島の西側に出てしまったらしい。
でもって、そこに浮いてた水上カジノ。
が、電気ついてないし、岸からの連絡手段も見当たらないので、休業中みたいです。
香港には、香港島の南側にジャンボという有名な水上レストランがあるんですが、
これ、なんとなくそれに似てるので、同型艦かなあ。
あっちは夜の派手派手ネオンと、適当な料理で知られる(笑)観光名所なので、
それと同じようなものを狙って失敗した跡でしょうかね。
えらく苦労してようやく捕まえたタクシーで、フェリーターミナルへ。
空港のように到着と出発が別ロビーで、出発はこの上の階から入ります。
参考までに、タクシーの運転は、今回もアジアンスタンダードでした(笑)。
そこから見た例の橋。ここからだと、さすがに向こう岸の島も見えます。
さて、なんとなく中途半端なまま撤退する今回のマカオですが、
これはもう、私の作戦ミス、という部分が大きいですね(涙)。
基礎知識のトコでも書いたように、マカオがポルトガルに実質占拠されたのは
香港などよりはるかに古く、1580年ごろにはほぼ自治権を獲得してたようです。
この数字をみて、あ、と思った人はするどい。
日本の戦国時代をナナメ横から照らし出す事になった
西の教団、イエスズ会の極東統合参謀総司令部は、その段階でマカオに置かれます。
“日本史”の作者としてしられる宣教師、ルイス・フロイスは、
おそらくマカオのヘッドクオーターと連絡を取りながら活動していたはずで、
実際に1592年10月から95年までマカオに居住してました。
(つまり朝鮮出兵、文禄の役の開戦に立ち会った直後に日本を出てる。
1595年にマカオを出て再び日本に復帰、97年に長崎で永眠)
なので、私が歩き回った街角で417年くらい前にカッパ頭の宣教師が、
「日本には信長っていうツリ目のオカマみたいなしゃべり方するエライオッサンがいてさー」
といった立ち話をしていた可能性もあるわけです。
さて、脱線しますよ(笑)。
でもって、今回行くかどうか悩んで、結局やめたんですが、
そのイエスズ会の極東総本山がマカオの街中にある聖ポール教会(天主堂)で、
1835年の火事でほぼ消失しながら、巨大な壁が一枚だけ焼け残った教会として、
それなりに有名です(マカオでもっとも有名な観光スポットだろう)。
でもって、日本史史上、間違いなく重要度ベスト10に入ると思われるフロイスの
“日本史”の原本は、まさにここに保管されていたため、
1835年のその火事で、キレイに焼失しているのでした。
あれま。
ついでに、フロイスは文章が下手で、
かてて加えて誰も日本になんて興味がなかったので、
一度も書籍として出版されておらず、原本もポルトガル本国には送られませんでした。
なので、このまま消えてなくなっても不思議はなかったのですが、
幸い、1700年代にポルトガル本国から来た
モンターニャという役人がこれを複写していたため、
現在でもそれを見る事ができます。
が、なにせオリジナルは焼失してしまってるので、欠落部が存在します。
現在、文庫本等の翻訳で読めるのは、
モンターニャが作ったらしい複数の写本(本国用とアジア教区用がある)から
現存する部分を寄せ集めたもので、欠落部分は、
2010年現在も発見されていないはず。
もしかしたら、その欠落部分に「信長は寝小便を三十過ぎまでしてた」
とか従来の日本史を完全に覆す新事実が含まれてる可能性もあり、
まあ、いつか見つかるといいなあ、と思うわけです。
…あれ、となると日本史研究者にとって、ポルトガル語、重要だな。
とりあえず脱線は、ここまで。
これにて、さらばマカオ。
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