■それは罠と呼ぶにも虚しくて
さっそく電車がやって来た。
フフフ、まさかこの電車があの悲劇の舞台になるとは、
お釈迦様でもご存知あるめえ。
なんたって彼、2300年以上前に、もう亡くなってるからね。
今回の証拠写真。
全ての悲劇は、この“ドアと窓の上部分が黄色い”のが原因だった。
さて、ご覧アレ。
この駅のどこにも、この黄色い帯の意味、書いてないですよね。…ね?
問題の事件は、この直後、駅を出発して間もなく発生する。
乗車後、やれやれ、と思って席に座っていると、
黄色いシャツを着た3人組が検札に回って来た。
そこで、はいな、とオクトパスカードを渡すと、
なにやら広東語でワーッと話しかけられる。
パードゥン? と聞き返すと、別のメガネの男性がやって来て、
「ここは一等車ネ」と中国ナマリの英語で言う。
一瞬、意味がわからなかったが、日本のJRにおけるグリーン車みたいなものか、
と思って、OK、幾らかかるの?と聞いたら、
「駅のホームで専用端末があった。それにカードをタッチしないとダメ」
とのこと。じゃあ、別の車両に移動するしかないか、と思ったら、
「料金払わないで乗った、それ、50香港ドルの罰金」とおっしゃる。
え?
だって、あーた、どこにも一等車だのなんだのの注意書きなかったアルヨ!
と抗議すると、
「いや、駅の見える場所に書いてあるノヨ、黄色い帯の電車、一等車」とおっしゃる。
はい、みなさん、上の写真を再チェック。
そのくらいの中国語なら私でも読めるが、どこにある、そんな注意書き(笑)!
見た記憶が無い、という自信はあったので、デジカメ引っ張り出して確認しようか、
と思うが、この手のトラブルは、過失の有無を問う前に、
あまり大騒ぎしないほうがいい、というのは経験上、いやというほど知ってるので、
「だけど、ホントに見てないアルヨ!この車内にも何も書いてないヨ!」
と交渉を試みる。
すると3人で、向こうに行って何やら話し合いが始まる。
ここからは、個人的な推測であるが、
「どうする?あれ」
「ものすごい馬鹿っぽい顔で、なんかカワイソウになってきたよ」
「哺乳類であるのが精一杯、って感じだもんなあ…」
「ああいうのに限って根に持つから、係わらないほうがいいよ」
みたいな真剣な討議が行われたのではないだろうか。
やがてもどって来て、「あなた日本人か?」と聞かれる。
海外で即座に日本人、と認定されたのは久しぶりで(涙)、
ちょっとうれしくなったが、まあ、こんだけナマリの強い英語しゃべればわかるか、
と冷静になる。トホホ。
「そうアルヨ」と応えると、パスポートを出せ、といわれる。
深圳越境に必要だから、幸い、今日は持ち歩いていたので、ほい、と手渡す。
どうやら、入国日を確認してるらしい。
ここでいきなり脱線しますが(笑)、香港の入国審査官は、
ビザ無しのビジターに対しては、今日から90日間だけ居ていいよ、
というスタンプをパスポートに押します。
マカオなども同じく、90日までよ、のスタンプを押します。
が、なぜかより滞在期限の短い中国本土はこのスタンプがなく、
昨年の春、最初に上海に行ったときは、まあ3日間なら大丈夫かと思ったものの、
ちょっと不安になったりしました。ちなみに、こちらは15日が限度です。
さらに脱線すると(笑)、アメリカの入国スタンプにもこれがあるんですが、
どういうわけか、結構、押し忘れがち。ちなみに、こっちも90日。
今まで、シカゴ、ニューヨークで入国審査をした時は押されず、
サンフランシスコは2戦全勝、ロスは1勝1敗、となっております。
さて、そんな感じにパスポートをチェックされたのですが、3日前に来たばかり、
マカオ帰りのスタンプに至っては2日前の日付。
どうやら、来たばかりで、ホントに知らんかったらしい、と判断されようです。
こういう時は容姿が人並み外れて優れないのは同情を買いやすい
メリットとして働きますから、人生、捨てたもんじゃないですな。
でもって、結局、次の駅で一回降りて、
その駅の前払い機で料金を払う、ということで決着。
これがその次の駅と、いろんな意味でお世話になった皆さん。
なんだかなあ、と思ったんですが、実は帰りの電車で、
どうみても確信犯で乗り込んでる乗客、
というのを複数見かけ(笑)、なるほど、彼らは彼らで大変なのね、とちょっと納得。
ちなみに、これがそのユーのシートをファーストクラスにアップしちゃうマシン。
どう見ても、誰かに教えてもらわなきゃわからん、という場所でしたよ…。
でもって、今になってよく見ると、この左側に小さく書いてある注意書きが、
まさにその一等車に関するものでした。
…こんな小さく書かれてもわかるかい!
少なくとも、初めて乗る人間にとっては、罠以外の何ものでもない、
と思いますよ、このやり方。
なので、もしこの列車に乗ることがあるなら、
この機械にオクトパスで前払いするか(現金は入れるトコがなかった)
奥に見えてるような、ドアと窓の上が青い電車に乗りましょう、チキチョーメ。
はい、でもって、これがその問題の一等車。
もう料金払ったんだから、ふんぞり返って乗りましたとも。
中国の電車にしては、えらくデラックスなのは、
多分、返還前にイギリスが持ち込んだ車両だからでしょうね。
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