■専用と言う罠
「なんだこれ?」
そこにあった日本料理屋さん。
「自家料理って日本語として正しいの?」
まあ、その点もなんなんだが、ここで最大のポイントは、
その“沃川”という名前なんだよ。
「ヨクカワって、読むのか。肥沃な川ってこと?」
意味的にはそんなとこだろうが、これ、朝鮮半島の川の名前なんだ。
調べてみたら、地名にもあるらしい。
「…じゃあ、あれか、カリフォルニアの日本料理屋みたいに、
実は経営者の多くは韓国人、とういうオチ?」
ところがどっこい、ローマ字表記が“ヨクカワ”だろ。
これは完全に日本語読みだ。朝鮮語ではオクチョンとなる。
少なくとも、漢字の日本語読みは正しい。
でも、その名前は日本の地名ではない(笑)。
「…つまり?」
さっぱりわからん、と言う事だよ、ワトソン君。
「なんじゃこりゃ」
これも閉まってた店なんだが、その店頭にあったポスター。
「見え難いけど…いわゆるコスプレ?」
だと思う。
読み取れないと思うけど、ポスターの文字は日本語、
間違いなく日本謹製の一品だ。
「一体全体、なんのお店なんだよ」
正解は、写真の上の方、ドアに書かれたホームページアドレスにあり。
おっと、英語が読めなくても、よい子はそのままでガマンしようね。
間違ってもお父さんとかに意味を聞いちゃダメだよ。
さらにアドレスを、ブラウザのバーに直接入力して、そこに行くのも禁止だぞ。
そんなサイトより、夕撃旅団を読んでた方が、タメにはならんが毒にもならん。
「…なんか、わけわからんビルだな、ここ」
だから紹介してるのではないか、ワトソン君。
「トイレの洗面器?」
ピンポン。
「なんか書いてあるんですけど…」
燦然と輝く赤文字で刻まれたるは“四川楼専用”の8文字だ。
「5文字だよ。1ケタの数字だけでもチャンと数えられるようになろうぜ、な」
努力はしてるよ。
ちなみに四川楼ってのは、上の沃川と同じフロアにある、よくある名前の中華料理屋だ。
「で、そこの専用、と」
そう主張されておられる。
「そこの客しか使えない?」
従業員かもしれんぞ。
一番怖いのは、この店でお客さんが
“ここのお茶、うまいな、どこの水使ってるの?”
と聞いたら、店員が意味ありげにニヤーっと笑う、というパターンだろうな。
「…じゃあ、関係ない人が使ったらどうなるの?」
その点、よっぽど試してみようかと思ったんだが、
ここでいらんトラブルに巻き込まれても困るので、泣く泣くガマンした。
よって、詳細は謎のままだ。
さらに例のトイ センターは行ってみたらお休みだったよ。
今回の旅、こんなのばっかり。
はい、とりあえず、今回はここまで。
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