■香港あたりの基礎知識

さて、今回の旅は香港を主要目的地としながらも、
その周辺のチャイニーズ スぺシャル エリアをいくつか見てきました。

香港周辺と言うのは、中国でも極めて複雑な行政/経済区分を持ち、
かつ、ユニークなエリアが集中しているのです。
上海、北京が中国の経済、政治の正当な中心部とするなら、
このエリアは中国の“事実上の文化・経済の中心部”です。

今でも香港は上海より平均所得で倍近く高く、
間違いなく中華文化&経済圏の中心はここです。
さらに、マカオ、深圳市の二つを併せると、
中国の高収入都市ベスト3となってしまいます。
(ただし2007年のデータ。近年は上海が3位に入ってる可能性がある)

そんなチャイナ スペシャルエリアをざっと最初に見ておきましょう。
台湾の南西、フィリピンの真西、といったあたりに位置するのがこのエリア。

まずは、全ての中心に香港があります。下の地図で赤い色の部分ですね。



香港が、面積的にも、文化・経済的な影響力でも、このエリアで最強の存在です。

その香港は、特別行政区(Special administrative region)の名の通り、政治レベルで特別区であり、
2047年、つまり1997年にイギリスから中国に返還後50年間、中国本国とは
別の政治体系、法体系の維持を認められています。
このため、一定の自治権を持つほか、法律は未だイギリス統治時代のものが基本的に生きるようです。
実際、いいのかコレ?というような政治的、宗教的な活動が今でも行われており、
基本的に、言論、思想の自由度は格段に中国本土より高いと思います。
(あくまで中国本土と比べて、だけども)

このため、香港は中国国外として扱われ、ここから中国本土に行くのにはパスポートが必要です。
中国は日本と同じく出国にも審査がある国なので、本土との移動はえらく面倒な事になってます。
ついでに言うと、これは中国本土からの移民を抑える、というのと同時に、
香港にいる政治、宗教関係者を中国本土に入れない、という意味合いもあるはず。

で、その西にあるのが、旧ポルトガルの植民地であるマカオ。
地図の左手にある、ピンク色の狭いエリアです。
今では香港の舎弟みたいな都市ですが、歴史的には香港より古かったりします。
ポルトガルが直接武力占拠してしまったのは香港とほぼ同じ清朝末期なのですが、
それ以前から、ポルトガルの貿易拠点とされていた場所で、
みなさんご存知のジーザス河童、否、フランシスコ ザビエルの活動拠点でもありました。

香港中心部(地図上の白丸部)からざっと70km前後の距離。
高速船で1時間ちょっとで香港とは結ばれています。
ポルトガルも1999年に中国に返還されたのですが、こちらも特別行政区として
50年間は政治、法治の維持が決められています。
なので、これまた中国の国外扱いな上、なぜか香港からマカオに行くのにも、
パスポートが必要で(当然、逆ルートでも同じ)、日帰りで行ける距離のくせに、
意外に移動が面倒なエリアとなっています。
(ただしマカオは急速に中国本国の支配が進んでいて、香港のような国際自由都市とは言い難い)

上の地図でピンク色の部分がマカオの特別行政区ですが、香港に比べると格段に狭い上、
本国がサッカー以外の産業を思い出すのが難しいポルトガル、
20世紀に入ってからも全くパっとせず、事実上、香港の衛星都市となってしまってます。

たとえば、香港の通貨である香港ドルはマカオでも普通に使えますが、
その逆、マカオのマカオ・パタカは香港では全く使えないのです。

そんなマカオが、それなりの経済的な地位を持ち続けたのは、
ここがアジア有数の歓楽街となったからで、有名なカジノ(はっきり言ってショボイが)、
さらには競馬、ドッグレースといったギャンブルで知られる事になります。

その上、法律上の条文はない、と言われてるものの(未確認)、
ここでは人類最古の職業、春を売るのが事実上の合法とされており、
これらによって、今でも経済的にはそれなりの比重を占めています。

ただ、確かに歓楽街のイメージが強いものの、実際はそれほどでもなく、
たとえばカジノも一部の地域を除けばあまり見かけませんし、
ラスベガスのようにガソリンスタンドやコンビニまでスロットマシーンがある、なんて街ではありません。
近年、ラスベガス化が進んでるとはいえ、まだまだでしょう。
田舎のパチンコ屋が、東京風の店を建てたような…というのが正直な感想です。
まあ、カジノに関して言うなら、つまらないです。バニーガールも居ないし。
まあ、ショボイ、という感じですね。



マカオのカジノ街中心部を望む。
昔に比べると、ラスベガスのようなバカ建築ビルが増えたものの、
どこか垢抜けない感じは相変わらず。数も少ない。

まあ、カジノで遊びたいなら、素直にラスベガスに行った方が
10000億万倍くらい楽しいですよ、絶対に。


もう一つの人類最古の職業も、事前情報なしで現地に乗り込んでも、
まず見つけることが困難、といったレベルで、
これまた、町中がいかがわしい世界というものでもありません。
実際、前回の訪問では、全くその存在に気が付きませんでしたし、
今回も言われて見れば、あれとあれか!というレベルでようやく確認した、という感じです。

まあ、言ってしまえば中途半端な歓楽街、といったエリアではあります。


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