■なぜか人気者
さてペロ君、今回はスミソニアン自然史館の謎のお気に入りキャラについてだ。
「はい?」
まずはこの展示から。
「水辺の再現?」
ご名答。
約4億年前、水中の生物が陸上に、生活範囲を広げた記念すべき時代のジオラマだ。
といっても、あくまで水辺だけどね。
「ここから陸上生物の進化が始まった?」
だね。
「普通の、まともな展示だと思いますが」
ここまではね。
では次を見てみよう。
「なんだこりゃ」
アキュティリマス(Acutiramus)という、当時の節足動物の一つで、
現在までに確認されてる中では最大の節足動物らしい。
上のジオラマで地面によじ登ってるのがこの連中だ。
「節足動物って?」
昆虫とかクモとかサソリとか関節を持つ胴体と外骨格を持つ生き物だよ。
「ああ、なるほど。そんな感じだね。
それにしても、やや大味な模型だな」
そうなんだよ。
これでほぼ原寸らしいのだが、
スミソニアンの復元模型にしては極めてお粗末だ。
むしろデフォルメしてるんじゃないか、という気もする。
「デフォルメ?4億年前の節足動物をわざわざ?」
と、思っちゃうけど、実際、ここの解説動画ではこんなのが登場するのさ。
「……」
……
「アキュティリマスさん?」
らしいね。
「昆布のようなのはネクタイ?」
だと思う。
「…なんで?」
なんで、と言われてもなあ。
あくまで推測だが、なんらかの理由でここの研究者、
あるいは学芸員がこの生物を気に入っちゃったんじゃないか。
「なんで?」
さっぱりわからん。
そもそも、この生物、私は全く知らなかった。
最初は単なる自分の無知だろうと思ってたんだけど、
帰国後に確認してみたら、英語圏でも資料は限られるし、
日本語じゃ全く資料が見つけられなかった。
「つまり?」
そっちの業界でも、ほぼ無名な存在らしいんだ。
それをなぜ、ここまでプッシュするのか、全くわからない。
やはり何か個人的な感情がからんでるんじゃないかなあ。
「なんだかなあ」
はい、という感じで、今回はここまで。
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