■月面でやりたい放題
有名なルナ ローバー、正式名はLunar Roving
Vehicle(LRV)、月面車の展示。
直訳だと月面放浪用車、という感じなんですが、
これがユーモアなのか本気なのか判断がつかないのいので、月面車と訳しておきます…。
月に行ってまで車社会か、と日本人は思っちゃいますが(笑)、
とりあえず2013年現在まで、地球以外の星の上で、人類が直接操縦した唯一の乗り物です。
実はこれボーイング社の製品だそうで、展示のものは実車を製作する前に
各種テスト用として造られた試験用車両だとか。
なので、実際に月に持ち込んだのとは細部が違う可能性があります。
月面車は15、16、17号の3つのアポロで月に持ち込まれたのですが、
月面で最大92qまで走れるという、結構な機動力を持ちます。
ついでにこれだけで445kgもあるそうで、
よくまあ、そんなものまで月に送り込みましたね。
例の月着陸船の下半分、帰還時に発射台として使う部分に、
折りたたんで搭載してたそうですが(なので15号以降の着陸船は若干構造が異なる)、
月面で簡単な組み立て作業もやってるようで、
今から見てもアポロ計画ってスゴイと思います。
参考までに、これは使い捨てで、帰りは置きっぱなしにしており、
今でも月面に残ったままになっているはず。
例によって、後200年くらいたったら
文化遺産として回収されたりするんじゃないでしょうか。
こちららはアポロ11号が月に置いてきた観測装置たち。
これが予備機なのかレプリカなのか説明がありませんでしたが、
他と同じように、おそらく予備機でしょう。
まず奥の太陽電池が付いたのが地震計(PSE)、
手前のタコ焼き器みたいのがレーザー測距用反射装置(LRRR)。
地震計はその名の通り地震計ですが、
設置1ヶ月後の1969年8月には停止してしまってます。
もっともアポロ計画では月軌道上で指令船に乗組員が移動した後、
月着陸船をわざわざ月面に衝突させてるので、
おそらくその衝撃による地震を捕らえるのが最大の目的だったのかもしれません。
以前、東大の地震研究所の一般公開で聞いた話だと、
そういった振動の到達速度から地殻構造がかなりわかるそうですし。
もう一つのレーザー測距用反射装置は
地球から打ち出したレーザー光線をこれで反射し、
その帰ってくるまでの時間から、月と地球の距離を正確に計測するためのもの。
地球から、こんな小さいのを狙ってレーザー光を当てるって、
スゴイ話だなと思ったんですが、実験は成功しており、8cm以下の誤差で、
正確にその距離を計測できたそうな。
ちなみにこちらは1981年6月まで使用された、とのことですが、
別に動力があるわけではないし、大気の無い月で劣化が進むとは思えず、
なぜその段階で使用が終わったのかはよくわかりませぬ。
横の壁にずらりと並んだ歴代アポロの宇宙飛行士と、その主な活動内容の展示。
よく見ると宇宙飛行士は6人ずつの紹介になってますので、
おそらく予備チームのメンバーも含む紹介のようです。
これだけ大規模な計画は人類が今後もまず経験しないんじゃないかなあ、
と個人的には思ってるんですが、その代わり莫大な金がかかってるわけで、
ベトナム戦争と平行して行なわれたアポロ計画によって
1970年代のアメリカ経済は死んで行く事になるわけです。
そこにジョンソンという、人間としても類まれな最低男が大統領となり、
さらにニクソン、フォード、カーターと悪夢のハズレ大統領の
連荘になってしまうわけですから。
しかし、よく考えるとベトナムもアポロもジョンソンも、
全部ケネディの遺産なんですよね…。
ホントに評価が難しい人だと思います。
アポロ11号の指令船内で使われたさまざまな品々。
上の方が宇宙食で、その下にスプーンが見えてますが
この時代の宇宙食でもスプーン、使ったんですね。
画面やや下の辺りには、使用済みの歯磨き粉や歯ブラシ、
髭剃り用のカミソリなどが見えてます。
個人的には右側、中央よりちょっと上にある
宇宙サングラスが興味深かったです。
アポロ16号が持っていった天体望遠鏡。
これで月から見た地球、月から見た星雲などを撮影したそうで、
地球外での天体望遠鏡による最初の撮影だったとか。
展示の品は例によって予備機で、
ホンモノはカメラ部分だけ回収して、これも月に置きっぱなしになってます。
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