■アレクサンドリアの建築について
さて、今回のオマケコーナーは、
アレクサンドリアで見かけた建築についてだ。
「建築?」
うむ。まずはこの写真を見てちょうだい。
「紫のビル?」
いや、それは内部構造の新建材で、実際の外壁ではない。
「で、これが?」
気が付かないかい?
6階建ての大型ビルにしては足場も何もない、
やけに簡素な建築現場だ、という点に。
「あー、言われてみればそんな気もするけど…だから?」
では、アップで見てみよう。
「あれ、ビルの構造にしては、やけに木材が多いような」
そうなんだ。
このビル、よく見ると細い鉄骨を組んで造った
カゴのような枠組みがあるだけで、
その主要な構造を支えてるのは木材なんだよ。
「…え?じゃあ木造6階建て建築?」
そこまではいかないが、限りなくそれに近いように見える。
鉄骨があるのは明らかに外枠部分だけで、
内部構造はコンクリートどころか、鉄骨すら見当たらない。
この紫の新建材ボードも、木製モノコック胴体のように、
強度の一部を負担してるとは思うが、それでも大きな窓が
直角の角度を持って開けられてしまってる以上、
多くは期待できないと思うよ。
「うわあ…。鉄骨木造建築って感じか。で、6階建て…」
その鉄骨も、あくまで最低限だから、
地震の国から来た人間としては、ちょっと住みたくない家だね。
とはいえ首都の近所で、これだけ堂々と建ててるんだから、
強度の計算はキチンとされてるんだろうけども…。
ただ、21世紀に入って、まさかアメリカでこういった構造の
6階建ての建物を見るとは思わなかったんで、驚いたのさ。
鉄筋コンクリートが開発される以前、19世紀のロンドンの建物などには、
似たような構造があるんだけど、少なくとも周囲の外壁や
下部構造の柱はレンガか石組みで、
そこで強度をある程度まで負担してるからなあ…。
「地震がない場所の建築って、日本人の想像を超えるねえ…」
でも、先に見たように、ワシントンメモリアルが破損して
未だに修理してるくらいの地震はあるんだよ。
「…そう考えると怖いな」
実際は地震よりも火災が怖いと思うんだが、
まあ、アメリカではこれもありなんだろう、というお話でした。
はい、今回はここまで。
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