■その他いろいろ



これは各国のエースパイロットの紹介。
ただし国籍と名前、そして撃墜数のみという極めて簡単な説明です。
日本からは西沢広議(104機撃墜)さんと杉田庄一(同80機)さんが紹介されてました。
ただし日本の場合、撃墜数に関する公式記録がなく、
ただでさえ判定しづらいこの数字は資料によって大幅に異なりますから要注意。

ちなみにその隣にポーランドのエースが紹介されてますが、
これはポーランド敗戦後、イギリスに亡命して戦ったパイロットたちです。



アメリカではミッドウェイ以上に重大な戦争の転換点として説明されることが多い、
ドゥーリトルの東京空襲の紹介。

ちなみに左側の金属片は、ドゥーリトルが乗っていて、
中国に不時着したB-25の機体の破片という事ですが、ホンマかいな…と思ってしまう。
ところが、帰国後に写真を見ていたら
表面にうっすらと漢字が書き込まれているのを発見しちゃいました。
なんとか読める部分に「侵略」「同盟●機」という中国語らしい
文章があるのでドゥーリトル爆撃に参加した機体であり
中国軍に回収された破片というのは間違い無さそうです。

この作戦は、まだまだ新型で就役したばかりだった
CV-8の空母ホーネットに、陸軍の爆撃機B-25を搭載、
東京を空襲してやるぜ、というほとんど冒険的な作戦でした。
(ちなみにCV-8はその後、南太平洋海戦で沈没。実に1年1ヶ月の短命空母となる)

本来、小型のB-25が16機で東京を爆撃したところで
ほとんど無意味であり、戦術的には必要の無い戦いです。
が、これによって日本は精神的にショックを受けて
ミッドウェイ海戦に突き進み、アメリカ国民の士気は
一気に上がってしまったのですから、
戦略的には大成功でして、戦争は人間がやる以上、
心理面が重要だなあ、という話になるわけです。

ちなみに、双発爆撃機が空母から発進して、
日本を爆撃後、最後は中国に着陸、
というのは、普通に考えると極めて無謀な作戦に見えます。
ところが意外にも80人の参加隊員のうち、死者は3名のみ、
他に捕虜になったのが8名ありましたが、残りの69名は無事に生還してます。
ここら辺りは、指揮官のドゥーリトルの力が大きいでしょう。
ちなみに彼の名前は後ほど、記事中でもう一回登場することになります。

余談ながら、アメリカ海軍の艦艇の名前はニミッツなどの人名か、
イオージマのようなアメリカ軍が戦った
激戦地の名前をつける場合がほとんどです。

でもって、この作戦成功後、ルーズベルト大統領が
「爆撃機はどこから飛び立ったのか」と記者から聞かれた時に、
当時ベストセラーとなっていた小説「失われえた地平」に出てくる理想郷、
シャングリアからだよ、と答えて質問をかわしてしまいます。

ところがドンスコイ(笑)、これが後でえらい結果に。
この東京爆撃を記念して空母に名前をつけよう、
とアメリカ海軍は思いたったのですが、まだ戦争中であり、
まさか空母トウキョウとはつけられず、かといって空母太平洋にもできず、
結局、エセックス級空母CV-38をシャングリアとしてデビューさせていしまいます(笑)。
日本だったら空母イーハトーブか空母ペンギン村みたいなもんでしょうか。

ただし、アメリカ海軍もさすがにやりすぎたと思ったのか、
この名前の艦艇はCV-38の一代だけで打ち止めとなり、
名前を引き継いだ艦はないようです。

まあ家族に「今度シャングリアに配属になったよ」
と報告したところ「それって何の名前?」と聞き返されたりしたら、
説明、大変だったでしょうね(笑)…



ここからは、再び下の階にもどっての展示紹介です。

これは陸軍航空軍時代の各種階級章(Badges)の展示。
といっても、少尉だ大佐だといったものではなく、
パイロットや先任パイロット(Senior pilot)から航空看護婦(Flight nurse)といったものまで、
どちらかというと職務別の階級章みたいなものらしいです。



第二次大戦時に陸軍航空軍にいた人たちから提供された思い出の品々。
手紙、写真、各国のお金から、ちょっとスケベなピンナップまで、
こういうのを並べられるのは戦勝国だからだよなあ、と思いながら見てました。



フライング タイガースの展示。

日本と戦っていた中国軍が元アメリカ軍のパイロットである
シェノルト(Chennault)を雇い入れ、その指揮下で編成されたのが、
アメリカ人の志願パイロットによるフライング タイガースでした。

ちなみに後に海兵隊のトップエースに認定されるボイントンも
この義勇パイロット部隊に所属していた時代があります。

ただし、メンバー集めと準備で手間取ってるうちに
日本が真珠湾攻撃を行なってしまいます。
よって、あとは正規軍の戦いとなったため、
あまり活躍する機会がないまま、彼らは解散させられてしまったようです。

ついでながら左上に見えてるのが有名なフライングターガースの記章で、
これはウォルト・ディズニー社のデザインでした。
資料がどこか行ってしまったので断言できませんが、
これのデザイン料は確か無料だったはずで、
以後、ディズニーは積極的に戦争に関わって行きます。

ちなみに、帰国後になって
左下に二つ星のヘルメットがあるのに気が付きました。
これは中将のマークですが、フライングタイガースに中将はいません。
そもそも、正規軍ではないのです。
うーん、なんだこれ。今さら気になる…。


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