■ヨガIn the USA

今回はアメリカとヨガだ。
ちなみにダルシムVSガイルのダイアグラム最強対決って意味ではないぞ。

「言ってる意味がわかりません」



とりあえず、街中を歩いてると、結構な確率で
ヨガ スタジオなるお店を見かけたんだ。
これはホテルのすぐ側のもの。

「532ヨガってどういう意味?」

わからん。
英語でなんかのダジャレになってるのかもしれないが、詳細不明だ。
ちなみに、高級住宅街の極めて目立たない一角のスタジオだったのだが、
帰国後に調べたら、結構派手に商売を展開していて驚いたんだよ。
この地域では、それなりに有名な店らしい。

「へー」

ついでに画面に左には、リー将軍の家はこちら、の案内が。
まさか21世紀のアメリカでリー将軍とヨガが並んでるとは思ってなかったので、
なんとも不思議な気分になったよ。



こちらはアレクサンドリア中心部のヨガ スタジオ。
健康回復ヨガを名乗ってった。

「基本は健康体操みたいなもの?」

その通りなんだが、アメリカの場合、微妙な東洋趣味、
医学を超えた不思議な力といったノリが混じってくるんだ。
一歩間違えると新興宗教に走っちゃいそうな。

「特殊な文化?」

というほどのものでもなく、ちょっと変わったことがしたい、
スポーツジムと違って心と体を同時に鍛えたい、
といった方向性があるようだ。

「悪くは無いよね」

ただし、どうも“東洋への憧れ”の中で、
インドと仏教と中国がごちゃ混ぜになってる印象がある。
ここも左側のガラス窓を見るとTai chi と書かれてるよね。

「タイ チ?」

漢字で書くと太極で、太極拳の事だ。
ちなみに別の場所ではZEN、禅と一緒にされてるのも見たよ。

「ヨガちゃうやん」

なんだけど、アメリカ人にしてみれば同じ世界なんだろう。
ただし、おそらくこれは単なる無知だと思うが、
実は意外に真実をついてたりもする。

インドにおいて仏教勢力は紀元前にほぼ壊滅状態になるんだが、
それを滅ぼしたヒンズー教も、滅ぼされた仏教も、基本的には、
肉体的な鍛錬の修行する行者たちの文化の流れの上にある。
この肉体修行がヨガなんだが、この文化は仏教が東に向うにつれ、
どんどん衰退して行き、日本に来た奈良仏教にその影響はほとんど無かった。
(雑密は除く。あれは仏教ではなく魔法宗教だ)

が、6世紀ごろに中国に来た南部インド人の僧、
達磨(ダルマ)が新しい仏教、禅宗の基礎を造るんだ。
基本的にダルマのやっていた事はインド式のヨガ仏教で、
ある意味、原初の仏教への先祖帰りでもあったのさ。

そこから座禅と言う肉体修行が出てきて、
これは後に鎌倉時代に日本に大挙渡来することになるわけだ。
さらに彼が開いた少林寺は言うまでも無く、中国拳法発祥の地だ。
当然、太極拳もその源流を遡るとそこにたどり着く。

「…ぐー」

寝るな、ペロ君。
そんなわけで、ヨガと太極拳と禅は、大本では繋がってるのさ。
とはいえ、現状は全く別物になってしまってるから、
ここら辺はアメリカ人の暴走だと思うけどね。

はい、という感じで、今回はここまで。


BACK