■ご先祖さん
さて、ここからは、さらに時代が遡り、
第一次大戦前後のエンジンたちを。
ええ、あきらかに掲載順を間違えてます…。
これは“もう一つのロータリーエンジン”の一つ、
ムリー ロータリー エンジン。
ちなみにこれは2ストロークエンジンなんだそうな。
こちらのロータリーエンジンはエンジンそのものが回転するタイプです。
なんじゃそりゃ、という感じですが、
取り付け軸が機体に固定された状態にしてあり、
エンジン本体の方が、その周りを回ってしまう、という仕組みのもの。
プロペラはその回転するエンジンに取り付けられて、一緒に回ります。
これは結構高速で回転するためシリンダー(気筒)の冷却効果が高かったほか、
エンジン自体が弾み車(フライホイール)の代わりになるため、
その分の重量が減らせる、といったメリットがあったそうな。
後で見るレローヌ エンジンなど、第一次大戦時には
かなりのエンジンがこの機構を採用したようですが、
エンジンが大型化し、プロペラの回転速度も上がってくると、
そんなノンキな構造は不可能になり、廃れていったようです。
ちなみにこのエンジンは1912年製ながらすでに
機械式過給器(スーパーチャージャー)を搭載しており、
少なくともアメリカではもっとも速い段階で過給器を搭載したものだとか。
それが高高度対策なのか、出力アップ目的なのかわかりませんが。
これまた貴重なキング ブガッティエンジン。
その名の通りフランスの自動車メーカー、ブガッティ製の水冷エンジンですが、
展示のはアメリカでライセンス生産されたものらしいです。
つーか、ブガッティって航空エンジンも造ってたんだと初めて知りました。
1916年ごろの開発とされますから、第一次大戦中で、
イギリスのロールス・ロイス同様、軍からの要請で造られたんでしょうか。
Uエンジンという、直列配置のシリンダーを2列に並べた構造を持つらしいのですが、
同じようなV型エンジンに比べて、何のメリットがあるのかはよくわかりませぬ。
今ではほとんど見ない構造ですから、あまり意味は無かったような感じですが…。
ただしこれ、ほとんど商売にはならなかったようで、
本国でもアメリカでも少量生産で終わったそうな。
お次はドイツの高級車メーカー(笑)、ベンツ水冷エンジンのBZ
IV(4)のS型。
何度も書いてますが、ヨーロッパの戦争は高級だと思います。
これも第一次大戦時、1914年から18年にかけて生産された
水冷直列6気筒エンジンで、
アルバトロスシリーズを始め、さまざまな機体に採用されたとの事。
下部が三角形になって、いくつもの穴が開いてたりと興味深い部分はあるのですが、
正直よくわからんので、スルーします(手抜き)。
お次は第一次大戦時代を代表するスペインの水冷V8エンジン、
イスパノ-スイザ 8型のCa。
ちなみにイスパノ-スイザはスペイン&スイスといった意味で、
創業者二人の国籍から取られた名前ですね。
上のベンツエンジンと比べると、
同じ水冷ながら、その設計が近代的なのがよくわかるかと。
特にシリンダー(気筒)部が上のベンツエンジンではその名の通り、
1本づつの筒だったのに対し、このエンジンでは一体化されて
冷却用の配管まで内蔵したアルミ鋳造製のものとなっており、
この設計は後のエンジンに大きな影響を与えました。
1914年に生産が始まった後、各国でラインセンス生産も行なわれ、
最終的には5万基前後という、当時としては
かなりの数が生産されたとみられているそうな。
最後はこれも自分が回っちゃうロータリーエンジン、
フランスのレローヌ空冷エンジン。
プロペラシャフトとエンジン本体が固定されてるのがわかりますね。
ちなみにLe
Rhône はローヌ川の事だと思ってたんですが、
これはメーカーの名前らしいです。
ソッピース キャメルを始めとする連合国側の多くの戦闘機だけでなく、
これを無断コピーしていたドイツ側も使用していたため、
ヨーロッパの空では敵味方がこのエンジンで戦う、
という事になっていたほどの人気エンジンでした。
正規ライセンスを受けていたイギリス、アメリカでも生産されたため、
最終的には7万台近い数が造られたと見られているようです。
はい、という感じでウドヴァー・ハジーセンターの取りこぼしはこれにて終了。
次回、いよいよ撤収に入ります。
オマケコーナーは、すみません、もう一回休みます。
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