■それはドイツだ



一見すると先に見たHs117とよく似てるのですが、別物です。
同じワグナーの設計チームによるHs298 V2ミサイル。
これが空対空ミサイル版の方ですね。
でもって、こっちは夕撃旅団 初登場。

これまた目視による無線リモコン誘導ミサイルで、
1944年ごろから生産に入ったとされ、
初期のV-1、そしてこのV-2合わせて400発程度造られているようです。

が、最終的にはより高性能のX-4ミサイルの登場によって、生産は打ち切られたとか。
ついでに、ここはその試作型のX-4を持ってる、との事で解説板まであったのですが、
現物が見あたりませんでした…。

とりあえずX-4に関してはコスフォードの時に既に紹介したので、
そちらをご覧くださいませ。



ブローム・ウント・フォス BV246 ハゲルコーン(hagelkorn)。
…日本語表記だと改めてスゴイ名前だな、これ。
hagelkornってのはひょう、あられの意味だとか。

グライダーのような主翼を持つ滑空爆弾で、
当然、無動力なんですが、これも誘導爆弾でした。
ただし、極めて長距離を飛ぶため、あらかじめ設定された目標に
自動操縦で突っ込む、というタイプのようです。
(リモコン操縦も可能だったらしいが)

ちなみにこの主翼、理由はわかりませんが、
鉄筋コンクリート製で、鉄の骨組みを薄いコンクリートで固めてるそうな。
重量的には極めて不利なんですが、強度を稼ごうとしたんでしょうかね。

とりあえず、目標のはるか遠くから投下、滑空しながら突っ込む爆弾で、
計算上は高度7000mで投下すると200km近く先まで飛べ,
その突入速度は900km/h近くになった、との事。
これならフリッツXのように撃墜されることもありませんが、
細かい誘導もできないので、命中率は微妙、といったところから
1942年2月に開発は一度キャンセルになったとか。

ところが、1945年の終戦直前の時期に、
これを対レーダー誘導爆弾にしよう、という計画が発生します。
短波のレーダー波をたどって自力で突っ込んでゆく、という
誘導爆弾として開発が再開したのだとか。
ただし、これも実戦投入までは行ってないみたい。

で、コスフォードにあったのは、そのレーダー逆探知型なんですが、
ここのは普通のタイプみたいですね。




さて、これもそんなドイツのビックリドッキリメカに見えますが、
こちらはアメリカ海軍によるバット 誘導 ミサイル。
下から見るとバット(Bat)の名の通り、コウモリみたいです。

ただし、誘導ミサイルと行っても無動力のグライダー式滑空空爆弾で、
母機から目標に向けられたレーダー波に乗って飛んで行くようになってます。
高度5000m前後から投下すると、35q前後の射程距離があったとか。

全長3.4m、全幅3mの巨大さから、当初は艦載機では搭載できず、
最初は海軍が運用したB-24、海軍の呼称PB4Y-2から運用されました。
その後、双発水上機のカタリナ、単発機のF4UやSB2Cヘルダイヴァーに
搭載可能になった、との事なので、小型化が進んだのか、
例によって何か無茶をやったのか…。

1945年の春頃から実戦投入され、アメリカ側の記録では
日本の艦船の撃沈記録があるほか、
ビルマ方面では橋梁の破壊などにも使われたとのこと。

ちなみに、日本でも同じような滑空爆弾を造っていたと
聞いたことがありますが、それがドイツのパクリか、
こっちのアメリカの爆弾の影響かはわかりません。
まあ、自分の頭で考えたものでないのは間違いないでしょうが(笑)。




アメリカ初の地対空ミサイル 陸軍のナイキ A-jax。
いわゆるナイキシリーズと呼ばれるミサイルの最初のものです。
ちなみにこのナイキはスポーツ用品メーカーではなく、
ギリシャ神話の女神ニケ(Nike/ギリシャ語で勝利の意味)の英語読みでしょう。

1945年から開発が始まっていたとされますが、
ミサイル本体(上の白い部分)と補助ブースターといった構成は、
おそらくドイツの地対空ミサイルを参考にしたんでしょうね。

とりあえず、1953年に配備が開始されるのですが、
液体燃料で運用が大変だったため、まもなく固体燃料に切り替えた
ナイキ ハーキュリーズ(Hercules/ヘラクレスの英語読み)が
開発され、配備が進められてゆきます。
しかしこの名前、神様二段重ねですから、天神天照みたいな
すごいネーミングですな…。

ちなみにそのナイキ ハーキュリーズを日本のあの(笑)三菱重工が
ライセンス生産したのが自衛隊で使っていたナイキ Jとなります。


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