■屋上デビュー



とりあえず、最初は前回紹介し忘れた艦内教会から。

この時代の軍艦から既にあったんですね、艦内教会。
祭壇とならんで、オルガンまであるようです。
ただし、明らかにレストア時に持ち込まれたものなので、
そこまで豪勢なんて、ホンマかいな、と思わなくもないですが…。

もっとも、先に書いたように、USSオリンピアは
第一次大戦後に無名戦士の遺体を
ヨーロッパから引き上げるのに使われてるので、
そのために他より豪勢な(?)教会だった可能性はあります。

もっともイギリス海軍なんかは少なくとも18世紀後期から
従軍神父(Chaplain)が乗り込んでました。
当時、艦内に教会が設置されていたかはわかりませぬが。

なので昔から海軍の軍艦は神の名と、神の庇護の下に戦い、
そして単純に運と実力を伴ってた方が勝ってたわけです(笑)。

ついでに12歳前後くらいの子供から乗り込んでいるのが
珍しくなかった当時の軍艦内で、19世紀末までの従軍牧師は、
その船員教育を担当してた事が多かったようです。



さて、艦上構造物内部の見学は終了。
そこからさらに階段を登って、いよいよ屋上、最上甲板に出ました。
この時代の軍艦は現在の商用フェリーのように、屋上に広大な空間があります。

ここら辺り、どうも民間戦に大砲積んだら既に立派な軍艦だよね、
といった設計感覚で造られていたんじゃないか、という気もしなくも無く…。



ちなみに、この屋上階層にも前後左右で計4門の6ポンド砲があります。
これは左舷前部のもの。

何気に砲口がカムデン市のUSSニュージャージーに向いてるのですが(笑)、
艦上構造物内で見た5インチ砲なども同じような角度を向けられており、
ひょっとしてフィラデルフィアの皆さん、隣の街と州と戦艦がキライなんでしょうか…。



そこからすぐ、艦上構造物の最前部に到達します。

正面に見えてるカエル型ドラム缶みたいのが艦首側の主砲砲塔ですが、
これは限りなく自称主砲砲塔でして、資料的価値はほぼゼロです(笑)…。

USSオリンピアでは、前後に2門づつ、
計4門の8インチ(203mm)砲が搭載されてましたが、
例のI X-40、分類外艦(Unclassified)だった時代に
全て取り外され、破棄されてしまってます。
よって現在のものは博物館展示に辺り、新たに取り付けられたもの。
残念ながら再現性は極めていい加減で、
あくまで雰囲気を味わうもの、位に考えておいてください。

例えば屋根上に飛び出してる突起部分は、
主砲の砲術長などが外を見るためのもので
(ここで照準を行なっていた可能性あり)、
周辺には周りを見るための隙間窓(スリット)が開いていたはずですが、
そのようなものは全く見当たりません。

ついでにそこから上に出れる戦車の主砲ハッチのような構造だったはず。
さらに言うなら、本来は上部にぐるっと円周型の手すりが付きます。

まあ展示にあたっての予算とかの都合もあるでしょうから、
それらしいものが乗ってるだけでも、よしとするべきなのかもしれませんが。


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