■艦内で迷わない

さて、今回はある日突然アイオワ級の艦内に紛れ込んでも、
とりあえず大丈夫、という情報だ。
なにせ相手は超高層ビル級の大きさだから、
何も知らずに乗りこんだら、確実に迷子になるだろう。

「いらん知識じゃないの、それ」

いや、世の中何があるかわからんからな。
知っておいて損はないぜ。

「そうかなあ…」



艦内のあちこちに、なんだか黄色い紙が貼ってあるんだけど、
これが現在地を示してるんだ。
その読み方を知っておけば迷わないよ、という話。

「ロンドンのHMSベルファストにもあったね」

あった。ただしあっちは2Mで第二階層のMブロック、
という程度の単純な表示だったんだが、
そこは戦艦、USSニュージャージーはとんでもなく情報量が多いのさ。
ちなみにこの黄色い標識を、大戦期の水兵さんはBull's eyes と呼んでいたそうだ。

「…牛の目玉?」

その可能性もあるが、さすがに意味がわからないので、
Bullには警察官の俗語、ポリ公、というった意味があり、
そっちで警察官の目という意味じゃないかなあ。

とりあえず、その読み方の説明がこれ。



最初の2が甲板の番号。
数え方は例の木板張りの主甲板から下へ数えるんだ。
ここは最初に見た居住区なので、主甲板から一つ下、
よって2番目の甲板で2となる。

「あれ、主甲板から上もあるじゃん。今回の提督の間とか」

その通り。
その場合、甲板(Deck)ではなく階(Level)と呼ばれ、
アタマに0をつけて、今度は下から上に数えて行く事になる。
1階が01、2階が02…といった感じだね。

「アタマに0が付いてたら艦上構造物内、ということだ」

その通り。
で、その次の36は船体内の区画番号になる。
船体は細かい桁、フレームで構造を支えてるんだけど、
それぞれに番号をつけて艦首から艦尾に向けて数えるんだ。

「え?でも一番上のが艦首部のものでしょ。すでに28番だぜ」

そうなんだ。
さすが戦艦という感じで、まさに桁違いに数が多い。
ただし、構造が単純になる艦中央部はそれほど桁がないんだが、
それでも今回確認した限りでは135まであった。

「覚え切れるのか、それ」

微妙だろうなあ。
とりあえず現在地の推測はできる、という感じじゃなかろうか。
で、次の0はセンターラインナンバーというらしいが、
何度説明を読んでもよくわからんので、パス。

「なんだそりゃ」

艦内を左右に分けて振られてる数字みたいなんだが、
説明がややこしくてよくわらかんのだよ。
最大で幅32mもある艦内なので、中心線の右か左かを示してるんだと思うが…
まあ、上の二つだけでも場所の特定はできるだろう。

で、最後のアルファベットはそこが何の場所かを示してる。
LだとLiving で居住区だそうな。

その下のFRから始まるのは正確なこの場所のフレーム番号、
その左下はこの場所の管理を担当してる部隊名、
そして最後の右下は大戦期に使われていた旧住所番号。

「旧住所?」

昔はこの表示のシステムが異なっていたんだそうだ。
このA-208Lというのが旧称なんだが、保守管理のマニュアルなどは
この旧住所番号で記載されていたため、
変更後も、こうやって残しておいたのだとか。

「へー」

と、いう感じで、今回はここまでだ。


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