■主砲その1



そこから振り返るとこんな感じ。

…やっぱり意外にこじんまりしてますね(笑)。
さすがに巡洋艦のHMSベルファストよりは迫力あるのですが、
もっと威圧感があると思ってたので、ちょっとガッカリ艦、否、
がっかり感ありにけり…。

ついでに甲板左右の防護柵が意外に低いのにも注意してください。
これじゃ荒天で揺れてる時など、とても落下防止にはならず、
甲板を歩くときは自己責任で、という事なんでしょうかね。

ちなみここまで来ると、かなりの角度があり、
まっすぐ立つだけでも結構大変でした。

手前に見えてる黒いフタが通常の甲板上のハッチで、
おそらくここからは下の錨巻上げ機の機関室に入れます。

ついでに、右手前に見えてる幌は、
艦首部見学コースの出口側です。
この直ぐ後ろが入り口ですから、
今見てるこの下のあたりをウロウロするだけで
外に出されてしまうのだ、というのを後ほど見る事に(笑)。

その出口の後ろに照明器具があるので、
夜間はライトアップされてるんでしょうか。
この地域に夜中に来るのはちょっと勇気が要りそうですが…。




ちょっと角度を変えて。
手前の丸いマンホールのようなものは、例の40mm機関砲連装銃座の
回転機構が入ってた部分だと思います。
主砲手前の幌は上で見た見学出口。

ついでに今さらですが、艦橋のテッペン、
主砲の射撃管制装置よりも上に見えてる湾曲した網状のものは
戦後の改装で取り付けら得たAN/SPS49対空レーダーのアンテナ。



とりあえず主砲の第一砲塔を少し見ておきましょうか。
ここまで来るとかさすがに迫力ありますね。
右側の幌は上で見た見学出口です。

アイオワ級の主砲はアメリカお得意の16インチ(約40.6cm)砲の中でも、
新開発の40口径 Mk.7という砲を搭載してました。
ノースカロライナ級&サウスダコタ級までのMk.6より砲弾の初速が速く
精度も高かったとされますが、私はよう知りません(笑)。
この星型の砲口のフタは海軍でも使ってたもので、
オリジナルの装備だと思われます。

ついでに主砲と言うと、この甲板上の部分を連想しますが、
実際は艦底の弾薬庫に繋がる給弾装置から
砲塔回転用の機関まで含めると、
ここから艦底まで4階層ブチヌキで根が生えてます。

軍艦の主砲は、サツマイモみたいな兵装でして(笑)
表面に見えてるのは氷山の一角に過ぎないのです。
同じような印象の戦車の砲塔とは根本的に構造が異なります。
で、その主砲下部分も、できれば見学したかったんですがねえ…。



主砲正面。
手前に置かれてる黒いビニールが出てる円筒型のものは、
ただのゴミ箱です(笑)。

ハシゴは当然、砲塔上に上るためのもの。
大戦後期には先に書いたように対空銃座があったほか、
決して広くない艦内で置き場所が無かった救命用のゴムボートや救命具を
使い道の無い主砲上に置いていたりもしたので、
砲塔後部にも追加でハシゴがあったります。

余談ですがアメリカの旧世代戦艦で1920〜30年代のニューメキシコ級などは、
一時期砲塔の上に、水上機を搭載してたります…。
置き場所が無かったのかと思いますが、写真によっては
どうも後部第三砲塔の上にカタパルトのようなものがあり、
なんだかスゴイ世界が展開していた可能性はありますね。

で、よく見るとハシゴの左横に、前面装甲のつなぎ目が見えてます。
かなり分厚いのがわかると思いますが、鋼板製で厚さ432mmなのだとか。
これ一枚でも相当な重量になるはずだよなあ、と思うのと同時に
戦艦が重い(=総排水量が大きい)のは、船体がデカイからではなく、
装甲と兵器が重いからなのだ、と突然気が付きました(笑)。

民間の商船で、こんなアホな厚みの構造物はありませんし、
砲撃戦を前提としない近代軍艦の装甲ははるかに薄いですから、
同じ大きさならずっと軽くなります。
逆に言えば、この時代の軍艦は小さくても相当重い(=総排水量が大きい)、
という事になるわけです。

同じような大きさでも、戦車(10式で約43t)と11トン貨物トラック(4〜5t)では、
10倍ちかく戦車が重いわけで、当然、同じ総排水量(=船体重量)なら、
装甲板のカタマリである戦艦の方が重くて小さくなるんでしょう。

ついでに砲身のつけ根にある黒いカバーは海水侵入防止のためのもの。
布製ですが、いわゆるキャンパス地なのか、他の布なのかはわからず。

主砲は上下角を取って動くため、この稼動部には
その動きにあわせて切れ目が入れられてます。
そこから海水が浸入してくるのを防ぐためのカバーです。
暴力的なわりには繊細な装置である主砲の保護用なのです。

ただし、同じアメリカの戦艦でも旧式のニューメキシコ級なんかは
大戦中もこのカバーを使用してないので、
必ずしも必要でないのか、新型の主砲が繊細だったのか
よくわからない部分がありますが。



では、いよいよ見学ルートにそって艦内に入ってみましょう…
という感じで、今回はここまで。
オマケも一回お休みです。


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