■それがフィラデルフィア

さて、前回フィラデルフィア中心部まで進出したわけですが、
ここで今回の遠征内容を理解するため、
その訪問目的と地理関係を確認しておきましょう。

まずフィラデルフィア市は二つの川、大河といっていいデラウェア川と
やや細めのスクーキル川に挟まれた中にその中心部があります。
その中でも、ハイウェイの76号線と676号線に囲まれた部分が観光名所や
行政施設が集中してる地区となります。

で、デラウェア川を北側で渡って市内に入るのがベンジャミン・フランクリン橋、
南で渡るのがウォルト・ウィットマン橋ですね。

橋の名前になってる事からもわかるように、
カミナリと電気とフランス外交で人気の歴史的人物、
フランクリンは、主にフィラデルフィアを地元としていました。
ここで彼は新聞を発行し、そこから徐々に政治的影響力を持ってゆくのです。



で、このデラウェア川はフィラデルフィア市の市境であると同時に、
ペンシルバニア州とニュージャージー州の州境にもなってます。

ちなみにフィラデルフィアはペンシルバニア州最大の都会ですが、
ペンシルバニアの州都ではありませぬ。
ここら辺りはアメリカ式で、イリノイ州の州都がシカゴではなく、
カリフォルニアの州都がロサンジェルスでも
サンフランシスコでもない、というの同じです。
そもそも国の首都がニューヨークでもシカゴでもロサンジェルスでもないですし、
都会度と行政機関の中心は別、というのがアメリカの基本らしいです。

で、川向こうはニュージャージー州のカムデン市で、
ここは全米トップ100危険都市リストで毎年常にワースト3内を維持してる、
という恐るべき街です(笑)。
(住民25000人以上の町で1000人あたりの凶悪犯罪数比較)
詳しくは現地に迷い込んじゃってから解説いたします…。

で、前回到着した30thストリート駅は左上、市の中心からやや外れた
北東部にあり、ここからデラウェア川に向って、市役所、
有名な自由の鐘の展示施設といった主要施設がならびます。

そのゴールともいえる東端にあるのが今回の目的の一つ、
川沿いに建てられた独立記念港町博物館です。
ここには防護巡洋艦(Potected cruiser)USSオリンピアが保存されています。
例のマスコミ主導戦争、スペイン戦争における二大海戦のひとつ、
1898年5月のマニラ湾海戦において艦隊旗艦を勤めた船です。

でもって実は今回確認するまで、USSオリンピアは
戦艦だと思い込んでおりました…。
なので先に戦艦二隻を見に行く、と書いてしまったのですが、
戦艦一隻と巡洋艦一隻に修正いたします…。

ちなみに同じ時代の防護巡洋艦(Potected cruiser)のアヴローラがロシアで、
ちょっと重装備の装甲巡洋艦(armored cruiser)
イェロギオフ・アヴェロフが、ギリシャで保存されてますが、
どちらも20世紀に入っての船なので、
USSオリンピアは、おそらく鉄製の船体を持つ近代軍艦としては、
世界最古の現存軍艦じゃないでしょうか。
(木製の帆船だと例のUSSコンステレーションなどがある)

横須賀の戦艦三笠?ハハハ…。
まあ、あれも20世紀の船ですが、それ以前に…
ハハハハ…ハ…察してちょうだい……。

ついでにアメリカではおなじみバラオ級の潜水艦、
USSベキュナ(Becuna)もここにあり、
2007年のサンフランシスコ以来となる対潜水艦戦も予定しています。

さらに、このデラウェア川周辺はそれでは終わらないのです。
その対岸、カムデン市側では第二次大戦の主力戦艦にして
1983年のレバノン戦にまで参加したUSS ニュージャージーが
博物館になって保管展示されています。
これが今回の主要目標ですね。

まあアメリカ国内でも、一箇所でこれだけの艦船系展示を
見れる場所は珍しいと思います。
なのでわざわざここまで脚を伸ばしたわけです。

で、その後は自由の鐘など、通常の観光名所を回って
終わりにしようか、と考えておりまする。

ついでながらデラウェア川は南側が下流、海側でして、
その海側の位置に今でもアメリカで最大規模の海軍工廠の一つ、
フィラデルフィア海軍工廠があります。

つーか、アメリカ国内の主要な海軍工廠のうちの二つ、
フィラデルフィアとワシントンD.C.が海沿いに無い、
というのはちょっと面白いですね。

この海軍工廠の左がフィラデルフィアの空港なのですが、
これが例のホグ島造船所の跡地のようです。

で、2013年の9月の段階で、この海軍工廠には2隻の退役空母、
最後の通常動力空母であったUSSフォレスタルと、
USSジョン・F・ケネディが係留されていました。

柵ごしに見学できるようなので、時間があれば見に行こうと
思っていたのですが、当然のごとく(涙)
そんな時間は取れず、見学には失敗しております。
ちなみにUSSフォレスタルはこの訪問直後にスクラップとして売却が決まり、
2014年の段階ではすでにここから居なくなってるはずです。

では、本編に入りましょうか。



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