■世界の戦いが終わる日



これは解説を撮影し忘れたんですが、おそらく爆撃機搭乗士官の帽子と
ヘッドセット(ヘッドフォン&マイク)じゃないでしょうか。

そもそもエンジン音がやかましいので、機内の会話は肉声ではムリ、
という点では航空機も戦車も同じで、こういったヘッドセットによって会話するわけです。
さらに爆撃機のようなデカイ機体だと、物理的にも搭乗員の距離が離れるので、
こういったヘッドセットは必須の装備となります。



こちらは大戦時のアメリカ歩兵の代表的な装備類。
一番奥は当時の標準的なM1ヘルメット、
左手前は、年式不明(笑)の水筒。

小銃はアメリカ式0.3インチ口径、7.62mmのM1ガーランドで、
第二次大戦から朝鮮戦争までアメリカ軍の主力だった小銃です。

その手前のベルト装備は
ナイフと簡単な衛生補助装備(First-aid kit)の入ったもの。

その右下は、有名なアメリカの拳銃、45口径 コルトM1911A1。
その名の通り、1911年、日本じゃ明治44年に採用された拳銃ですが、
今見ても全く古く感じないこのデザインはすごいですね。

ちなみにあくまで護身用の兵器なんですが、45口径の破壊力はけっこう凄まじく、
シューティングレンジなどで横でこれを撃たれるとその音にビックリします。
私自身は撃った事がないですが、横で見てる限りその反動も凄まじく、
これ、普通の日本人にはちょっと持て余すくらいの威力があるように感じました。
拳銃だと思ってナメてかかるとエライ事になるんじゃないですかね。

で、右下の電話は長距離用野戦電話EE8-A。
その名の通り電線を引っ張っていって他の部隊と連絡を取る野戦用電話で、
最大6マイル(約10q)以上の距離で通話が可能だったみたいです。
ちなみに、向って右側面に小さな回転取っ手がついており、
これを回す事で相手を呼び出します。

当然、敵の砲弾を食らったり、ネズミにカジられたりして(笑)、
電話線が切れると通話不能となります。



M-1ガーランドの、あまり見る事がない角度から一枚。

銃身の下に、発射ガスを後ろに押し戻す管がある事でわかるように、
M-1はセミオートマチック、連射可能な小銃です。

弾の装填には8発セットで装備できるクリップ、弾倉を採用しており、
写真のように上から、これを銃の内部に押し込んで使います。
(射撃時には完全に中に納めて使う)

が、これの自動輩出機能を搭載してしまったまめ、
撃ち終わるとクリップ部がポーンと、上に弾き飛ばされ、
その時、独特のスプリングの弾ける音がするのです。

敵が比較的近くに居る場合、このスプリング音が聞こえたら弾切れだ、
とばれてしまうわけで、
実際、朝鮮戦争中にこれに気が付いた中国軍は、
的確に反撃したため、アメリカ軍は苦戦した、という話もあるようです。

余談ながら、Garand は日本語ではガーランドと表記されますが、
この発音、どうもちょっと特殊らしく、アメリカ人の間でも、
それは間違い、いや、お前の方が間違い、といった話を見かけます。
まあ、面倒なので、この記事ではガーランドとしておきますね(笑)。



お次はドイツ軍の装備品。
これも例のアメリカ人がオミヤゲ代わりに持ち帰っちゃったものじゃないかなあ…。

左は士官用の短剣(Dagger)で、右はルパン三世でおなじみ
9mm口径のワルサーP38。
その下はいわずと知れたナチスのハーケンクロイツの旗。

ちなみにアメリカのコルトとはだいぶ形状が異なるドイツのピストルは
お土産として大人気だったようで、特に形が違うどころか、
ミノムシのような排莢装置を持つルガーなどは、見つかると奪い合いになったとか。



こちらは第二次大戦における、各国の戦死、戦傷、そして行方不明者数。

この手の資料は、戦死者だけでも正確さは望みにくいので、
さらに戦傷と行方不明まで含んでしまうと、正確さを期待するほうがムリで、
あくまで数字は参考用でしょうね。

それでもこうして見るとソ連(左端)のズバ抜けた人的損害が目に付きます。
ソ連の場合、戦争前後にはスターリンによる自国民大量殺しが加わりますから、
1930〜40年代に、あの大地でどれだけの人が命を落としたのか、
考えると気が遠くなる感じです…。

さらにそれを追いかけるような人的損失があったと見られるのが
中国(左から二番目)ですが、あまりに数が多いので、
これ国民党と共産党の内戦も含む数字じゃないでしょうか。
あの戦争の後半戦は、10万単位で意味の無い民間人殺しをやってますし。

それでも、その死傷者の多くは、こちらの都合で一方的に攻め込んでいった
日本軍との戦闘による犠牲者ですから、中国人がこの点で
怒りを感じるのは、当然の権利と言わざるを得ないなあ、という感じですね。
言い訳のしようがありませぬ。

もっとも、だからと言って、今でも日本はけしからん、
と言われるのは、お前の爺ちゃんはドロボウだったから、
きっとお前もドウボウなんだろ、と初対面で言われるくらい
極めて失礼な話で、話が別ですけどね。

その次に人的損害が大きいのはドイツ(右から3番目)で、
ある意味自業自得ともいえるのですが、
その次のポーランド(左から3番目)は、
これまた完全に巻き込まれた方ですから、
ドイツとソ連は死ぬほどキライ、という感じでしょうね。

で、その次が日本となります(右から2番目)。

そして名誉ある犠牲者最小はイタリア(右端)で、これは予想通りなんですが(笑)、
意外なところではブービー、下から2位がイギリスだったりします。
これはアメリカはもちろん、フランスよりも犠牲者数が少ないのです。

まあ、主な地上戦は北アフリカとノルマンディー以降のみですから、
4年近くに渡って血みどろの戦いを繰り広げた
ドイツ&ソ連の戦線とは事情が異なるのでしょう。
本土は爆撃を受けたものの、戦場にはなってませんしね。

ついでにイギリス陸軍に関しては、
むしろ塹壕戦でエライ事になった第一次大戦の方が
人的損害は大きかった、と言われてるのを思い出し、なるほどと思ったり。


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