■肖像権の主張

さてペロ君、今回はスミソニアンの遊び心についてだ。
人類の知の集大成とも言えるスミソニアンの博物館軍団だが、
あちこちに微妙な遊び心があって、楽しませてくれるのさ。

「へー。具体的にはどんな感じに?」

例えば、こんな感じだね。



「座席が並んでますが?」

ここは哺乳類間の次のコーナー、次回見て行く人類の起源コーナーの
最初にある映像室で、ここでざっと予習してから次のコーナーに向かう事になる。
で、上映が一度最後まで行ったので、皆さん席を立ったところだ。

「まだ一人残ってるよ」

だね。
でもよく見ると、あの人にだけスポットライトが当たってるのがわかるかな。

「あれ、ほんとだ。なんで?」

では、次の写真ではややアップにしてみよう。



「…おいおい、ネットで自分の写真を公表するのはやめときなよ。
今の時代、なんらかの悪用を常に考えるべきだよ」

ご忠告ありがとう、ペロ君。
まあ、私も一瞬自分が幽体離脱をしてしまったのかと驚いたくらいだから、
間違えても仕方ないが、よく見てごらん。
これ、服を着てないんだよ。

「ああ、とうとう海外でそこまで…トホホホ…」

落ち着きたまえ。
これは私じゃない、彫像なんだよ、チンパンジーの。

「また、そんな見えすいた言い訳を……どう見ても…
…って、あれホントだ、ブロンズ像っぽいね。
なるほど、言われてみると、あんたよりもチンパンジーに似てなくもないか」

うむ、疑いが晴れて何よりだ。
もっとも、もしかしたらチンパンジーではなく、ボノボの方かも知れないが、
正直、色が無い状態では私には区別がつかない。

「ああ、これが遊び心?」

その通り。
私は上映中にここに入ったので、とりあず上映が終わりまで待って、
全員が立ち上がるのを待ってわけだ。
その時は全く気が付かず、皆が居なくなってから、
あれ奥に一人だけ残ってるな、と思ったらこの方だったわけだ。

「なんか楽しいね」

うん。よって横に座って映像を見せてもらった。
ちなみに子供にも大人気で、反対側に座った子供は上映中ずっと
この上に登りっぱなしだったよ。



毎日毎日、同じ映像を見続けるのは苦痛のように思えるが、
本人、意外と楽しそうだったので、
生き別れの双子の兄としても一安心だ。

という感じで、今回はここまで。


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