■優雅なる迷走
こういったさりげない日常を、高度な絵画技術で切り抜いてしまう、
というのがアメリカの近代画家の特徴の一つで、私はこういう絵が大好きです。
光と影も美しい。
イーストマン ジョンソン(Eastman
Johnson)の1874年の作品で、
子羊、ナンタケット(Lambs,Nantucket)というブッキラボウなタイトルとなってます。
(ナンタケットはアメリカ東部の地名)
イーストマン・ジョンソンも日本じゃ無名に近いですが、
ニューヨークのメトロポリタン美術館の共同設立者の一人で、
これまたアメリカではそれなりに人気の画家さんでしょう。
とても美しい構図の絵を描く人で、その色彩感覚と共に見事だと思います。
ただ同じアメリカのワイエスのように精密な絵ではなく、
ざっくりと形状を切り取った後は、やや大味ともいえる仕上げしかしてません。
が、描こうと思えば写真のような精密画を描ける人で、
意識的に情報を切り取った、そのバランスが非常に素晴らしいと思ってます。
その先には中庭がありました。
周囲に見学客は私のみ、時間も空間も静寂の中にあります。
先ほど、入り口の枠越しに見た白い服の女性の肖像画。
で、下にはペットの犬が…と思ってたんですが、近くで見たら、
なんとこれ、狼の毛皮の頭部でした…。
ジェームス ホイスラー(James
M Whistler)という画家さんによる、
タイトルもそのまんま、白い少女(The white
girl)という作品。
ロンドンで活動したアメリカ人の画家さんらしく、
これもそれなりに有名な絵だそうですが、私は知りませなんだ。
ちなみに肉眼で見たのとかなり近い白部分の色合いで、
写真を見て改めてLX-7というカメラの性能に驚いております。
でもって私大好き、アンドリュー ワイエスの作品が一枚だけ(涙)。
アメリカを代表する画家さんだと思うので、もうちょっと展示があってもいいような…。
この人も高度な技術でさりげない日常を切り取る、というタイプで、
光と影の使い分けがとても美しい絵を描く人です。
ちなみに彼の代表作、「クリスチーナの世界」は私が地球上で最も好きな絵です。
ニューヨークに行けば見れるんですけど…。
さて、そんな感じにウロウロしているわけですが、
ホントに貸し切り状態で、とてもいい気分。
ここに行くなら平日朝一をお奨めします。
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