さて、今回のオマケ編は久しぶりに立ち寄ったサービスエリアで見たものたちだよ、ペロ君。

「さいですか」

では早速行って見よう。



今どきのサービスエリアで見たもの、その1。宝くじ売り場。

「あるんだ」

あるんだよ。まあ成田空港の出発ロビーにもあったから一定の需要があるんだろうな。

「あるんだ」

これも一種のギャンブルだから、飛行中や運転中などにギャンブル欠乏症で頭がオカシクなりそうな恐れのある人とかが購入するんだろう。そういった意味では事故や事件を未然に防ぐ安全設備の一つとも言えるな。

「買いたいと思う?」

私は死んでも買わない。宝くじにまともな法の規制は無いからね。

「はい?」

やりたい放題なんだよ、あれは。

「どういう意味?」

宝くじのように多数の人間からお金を集め、無作為に選んだ数字や記号で抽選を行って懸賞金を支払う賭け事を法的には「富くじ」というんだ。そしてこれは単純に刑法187条によって禁止されている。そもそも禁止されてるんだから、それ以上の規定は無い。

「いや、現実に売られているじゃん、宝くじ」

それは抜け穴があるんだ。そもそもは大戦後の地方財政の悪化があって、まず1948年制定の地方財政法 第32条において、政令指定都市と戦災によって財政的に問題が生じた市は「当せん金付証票」を発売できるとした。

「何それ?」

良くある法律の屁理屈だよ。宝くじは刑法で禁じられた「富くじ」ではなく「当せん金付証票」だ、だから問題無いと。

「すげえ理屈だな。名前を変えれば何でもありじゃん」

まあ法律ってのはそういうものだ。造った人間と知ってる人間だけが基本的に受益者となる。話を戻すと「当せん金付証票」に関する法としてはその名の通り、「当せん金付証票法」が同じく1948年に制定されている。これはその性格上、地方財政と「当せん金付証票」の発売代理人となる銀行の業務に関する内容が大半だ。

「ギャンブルとしてのルールは?」

驚くべきことに三点しかない。一つは「当せん金付証票」の転売禁止。もう一つは当選の払い戻し金でこれは売り上げの五割を越てはならない。最後は最高当選金は発売単価の50万倍まで、ただし総務大臣の認可があれば500万倍までが可能。

「え?当選金の払い戻しが5割以下なの。販売する方の取り分じゃなくて」

そうなのよ。つまり胴元、親は何の苦労も無く売り上げの半分以上を問答無用で自分のフトコロに入れられる。公営ギャンブルの胴元の取り分が三割以下なのに比べてメチャクチャな比率だ。そして注意して欲しいのは「最大で」なんだ。つまりその気になれば99%を自分のフトコロに入れても法的には何ら問題が無い。

「あれま。凄いね」

さらに凄い事に、これは極めて良心的な場合の話だ。

「はい?」

先にも言ったが超法規的存在である「当せん金付証票」だから刑法の対象にはならない。よって宝くじに関する犯罪行為の規定は、「当せん金付証票法」にある刑罰対象の規定のみだ。これは第18条に二項にまとめられている。だがそこで罪に問われるのは主に払戻金を受ける側なんだ。具体的には証票を転売する、または拾って自分のものにする、だね。後は発売代理人である銀行に関する項目があるだけ。

「だから?」

宝くじを売る側に刑罰項目、罰則は一切無いんだよ。例えば1億円の当選金が10本出ます、と言っていたのに実際は1本しか無くても、この法においては刑罰の対象にならない。私は法律に疎いが、宝くじは景品表示法も対象ではないと思うし、詐欺罪はピント外れな法律なので、これで刑罰を課すのも難しいと思う。さらに民事で訴えようにも厳しい気がする。高額な弁護士費用を払っても、勝ち取れるのは宝くじを買った代金止まりの可能性が高い。よって悪意がある人間が運営したら、まあやりたい放題だろうね。

「あれま」

そして私のような頭の悪い人間でも当選金を半額以下にして絶対バレない方法はいくらでも思いつく。あの銀行の皆さんは私よりずっと頭がいいから、一等賞を一本も入れ無いくらいは赤子の手をひねってバックドロップ決めるくらい容易いだろう。

「いや、でもそんな事ある?」

まあ、ここからは個人の見解だ。まずはこの千円札を見てごらん。透かしやホログラム、その他もろもろの偽造技術が入ってるだろう。

「まあ、お札だからね」

千円で買える紙がこれだけの工夫をしている。さて、日本で一番高価な紙切れはなんだと思う。

「あ…」

そうだ。今の宝くじは一等5億円だ。一枚の紙が5億円なんだよ。その番号はご丁寧に公表されている。それにしてはその偽造対策技術は極めてお粗末だ。5億円の紙切れなら4億円費やして偽造しても割に合うんだぜ。今の技術で出来ないと言い切れるとは思えない。まあ断言はしないけどね。

「でもそれで大丈夫なんでしょ」

お粗末な対策で大丈夫な理由はひとつしかない。高額当選券は最初から入って無いからだ。検査の必要なんて無いよ。当選券が送られて来たらそれは全て偽造なんだから。

「ああ…」

ゆえに私は死んでも宝くじなんて買わない。ただし、あくまで個人の意見だと思ってくれ。後は個人の自由だ。

「ああ…」



そして楽器の展示。

「楽器の展示…」

まあこれ、浜松のサービスエリアだから日本で唯一だと思うが。なにせタンバリンを持った家康像を城下に建てちゃう自治体だからな、楽器の街浜松。JRの駅にも楽器置いてあるしね。あっちは触れるんだけど、これは見るだけっぽいな。

「さいですか」



そして最近増えて来た液晶画面付きの大型販売機。売ってるのはディズニーキャラグッズ。

「なんで高速道路でディズニー」

知らん。ついでに言えばこれ初期型の黒目ミッキーで2024年1月1日、すなわち本年正月元旦に著作権が切れた形式のミッキーなんだ。実際、販売機にはどこにも©表記がない。なのでひょっとしてパチモン系の販売機かと思ったんだが、上の画面ではディズニーストアとなっているから正規品なのであろう。

「さいですか」

ちなみにこの販売機の初代ミッキー(Aタイプ)は白手袋着用済みだが、その事実上のデビュー作である1928年の蒸気船ウィリー(Steamboat Willie)で彼は白手袋をしていない。ディズニーの擬人化動物の定番、白手袋が登場するのは1929年3月公開の第5作、「ミッキーのオペラ見学(The Opry House)」からだ。ちなみに日本で最初に公開されたとされるこの作品、タイトルの邦題は極めて適当でOplyはオペラの南部訛りだけど劇場程度の意味で出演は大道芸の一座。しかもミッキーは観客では無く演じる一座の一人だ。

「さいですか」

そしてこの作品でも冒頭のシーン、箒がけの掃除中は素手だ。ところがその1分30秒後、怪しげな壺に祈りをささげてから体をメチャクチャに変形させる芸人として登場した時、それは起きるんだ。ミッキーは星団史上、初めて白手袋をはめて登場するんだよ、ホームズ!そして以後、作品終了まで決してこの手袋を外さない。ピアノを弾く時すら手袋着用だ。何か匂うと思わんか、金田一君。

「さあな」

さらにそれだけでは済まぬ。以後公開される作品でミッキーは手袋着用が基本形となる。すなわち以後、21世紀の現在に至るまでミッキーは一度も白手袋を外さないんだ。この魔の1分30秒の間にヤツに何があったのか、すなわち世紀を超えて手袋を着用するに至る何かが、この1分30秒間にあったのだ。初期ミッキーの荒っぽい性格、魔の1分30秒、決して外さぬ白手袋、指紋、そしていつの間にか白目のある二代目に切り替わったのに、同一人物と言い張る公式…ここから導き出される答えはただ一つだ。犯…

「…いや、ネズミに指紋ってあるのかよ」

…無いかな。

「無いだろ」

んじゃ、ペスト菌対策。

「言ってる意味が判りません」

と言った感じで今回はここまでだ。ちなみに今回、あまりオマケ編は登場しないと思うので、その点はご容赦。

「さいですか」

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