そしてこれまた三大メーカーのフォードが送り出した「小型車/Compact car」、フォード ファルコン(Falcon) 1960年型。

1959年発売開始の車なので、その翌年の型ですね。ちなみにプリムス(クライスラー)のヴァリアントと同じ年産まれですが、こっちの方が発売月が早かったので、三大自動車会社初の小型車とされるようです。ついでにアメリカで1970年に販売終了となった後も例によってオセアニア地区で独自進化しちゃうんですが、面倒なのでここでは無視。あくまでアメリカで売られたファルコンのみについて触れましょう。ただし三大自動車会社の小型車の中では一番つまらないデザインであり、その他でも特に見るべき点は無いので、まあこれでオシマイ(笑)。ちなみに、この地味なスタイルながら結構売れたらしいので、アメリカ人も全員が全員、ウルトラ警備隊のカラス感覚というワケでは無いようです。。



横から見てもツマラナイ車です。はい、オシマイ。

ちょっとだけ脱線すると、この車はベトナムの殺人鬼、不思議な名前のマクナマラ国防長官がフォード在籍時に開発から販売までを担当した車でした(技術者ではないので開発案件の責任者である)。そしてこの車が大ヒットした事で1960年11月にフォード社長に抜擢される事になるのです(ただしCEOではなく、単にPresidentで実権はさほど無い。ついでによく見るフォード一族以外からの最初の社長と言う話も正しくない。フォードの初代社長はグレイ(John S. Gray)だ)。マクナマラがケネディの目に留まるのはその前後の活動によるので、もしこの車がヒットしなければ、アメリカの若者はベトナムで死ぬ必要など無かったかもしれません。まあ、マクナマラ一人で引き起こした戦争では無いですが、暴走させたのはこの人ですからね。

あと恐らく「ピーナッツ」のキャラ、すなわちチャーリー・ブラウンとスヌーピーを最初に商業宣伝に登場させた商品でもあるんですが、これも車自体とはあまり関係ないな。ちなみにイメージキャラとかそんなレベルじゃ無く、広告用の1分近いアニメを大量に生産しております。このためスヌーピーの歴史を調べると、突然、写真のようなリアルな車とピーナッツのキャラが並ぶ映像が出て来て混乱します。筆者は英語が全く判らん時代にこれを見たため、なんで車だけこんなにリアルなのよと不思議に思ったのでした。ちなみに宣伝文句をしゃべる必要があるため、スヌーピーはほとんど出て来ません。

この車については以上ですね、はい。




そんなフォードが造ったのにカッコいい車、フォード マスタング(Mustang) 1964年型。

…64年型?いや確かにマスタングは1964年発売ですが、これも翌年の数字を取って65年型として発売されたはず。と思って調べてみたら1964年の4月から7月までの先行発売分は細かい点が以後の車とは異なり、1964 1/2(1964.5)型と呼ばれていると知る(ただし非公式な呼称。フォードの正式な分類では全部1965年型)。それなんですかね、この展示車。この点は運転席のランプ表示と搭載されたエンジンで判別するしか無いので、筆者には判断がつきませぬ。ただし発売直後から大ヒットとなったので、その初期生産型でも12万1500台が造られたらしく、そこまで貴重な車では無いみたい。

ちなみに筆者が底抜けに愛らしかった幼少の頃は皆ムスタングと呼んでた気がするんですが、フォード社公認の日本語表記はマスタングのようです。ただまあ、例によって最後のgを発音する日本語英語ですから、本来ならマスタンが一番近い発音ですけどね。香港はホンコンでホングコングと読まないんだから、マスタングはマスタン、キングコングはキンコンでいいと思うんですけどね。

でもって、なんで小型車の紹介に次いでこれか、と言えば上で紹介した安い車、ファルコンから開発された車だからです(シャシーはほぼ共通、その他にも多くの部品が流用されている)。ちなみにそこそこ安価で手ごろな大きさ、だけど小型車よりはカッコいい車としてPony carという単語がこの世代から発明されます。なんかラブリーな印象の名詞ですが、ちょっとイキった小型車程度の意味です、ポニー車。でもマスタング(野生馬)でポニーってどうなの、そこ笑うとこなの、という微妙な英語で日本人的にはよく理解できぬ、というのが正直な所。

ちなみにアメリカのちょっとイキった車は、先にコルベットで登場した個人向け高級車(Personal luxury car)、このポニー車(Pony car)、そしてさらにそのまんまネーミングの筋肉車(Muscle car)といった区分があるんですが、その区別はアメリカ人でも適当なのでまあ深く考えなくていいでしょう。ただ近年は「個人向け高級車」の名はほとんど使われる事がありません。よってアメリカの馬鹿が乗っている車はだいたいポニー車&筋肉車だと思っておけば間違いないかと(馬鹿なまま金持ちになるとフェラーリかポルシェを買う)。ちなみにアメリカ英語のMuscleは事実上馬鹿と同義と見て良いですが、連中と話して見ると力強い、カッコいいといった肯定的な的意味合で使ってくることが多いですね。この点、自覚無いんだと思っていいです。アメリカではキリスト並みに信者が多いのが筋肉崇拝ですから。




1970年代に入ると普通の馬鹿アメリカ車になってしまいますが、この初代、1968年までのスタイルはカッコいいなあ、と思います。ちなみに発売直後に大ヒットとなり、1965年型(実質二年近く売ったんだけど)は55万9千台、翌66年型は67万台を売りました。もっとも以後、急速に人気は落ちて、ダサい形になっちゃった1969年型は29万9千台、1970年代以降は12万台前後で推移してゆきます。まあそでもかなり売れてますけどね。

ちなみにマスタングの名はこの車に先行して造られた二座席の試作車(コンセプトカー)に付けられていた名を引き継いだもの。そちらに参加していたデザイナーが後にP-51に由来する命名と証言しているので、この名はあの戦闘機から取られた、と言っていいでしょう。



まあ典型的なアメリカ車、中身は無いカッコだけの車ではあるんですが。



後ろから見てもカッコいい。そういや「007 ゴールドフィンガー」って1964年公開だよねと思って確認したら1964年9月17日公開でした。すなわち4月に発売になったばかりの車をスイスに持ち込んで撮影したのか、あれ。ひょっとしてフォードと非公式にタイアップしてる?今考えるアストンマーチン(山道でマスタングにぶち抜かれるスポーツカー…)以外はフォード車、多かったし。となるとあれは当然、1964 1/2型ですね。あっちはオープンカーですけども

といった感じで今回はここまで。


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