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![]() モーガン エアロ(Morgan Aero)。1923年から29年まで製造されたスポーツ型の三輪自動車です。 モーガンは木製シャシ―(胴体)の三輪自動車メーカー(サイクルカー。イギリスでは税制面で四輪車より優位性があった)として創業した会社でした。展示のようなスポーツタイプの2座型だけでなく、乗用車型の4座型もあり、少なくとも1952年ごろまで三輪車の製造は続いてました。日本のオート三輪とは逆に前輪が二輪なのは転倒防止のためかと思うんですが、宮崎駿さんの漫画(単行本化されていない1990年代のNAVI掲載作品。個人的には単行本化を今でも待っています)によると前輪二輪でもコケる時はコケるらしいです。 ![]() セミみたいな顔ですね。 スポーツ型のエンジンは1096cc V型2気筒で40馬力前後出たとされます。ちなみにモーガンの三輪は製造終了後も何度か復刻生産されており、さらにレプリカが多数存在します。 ついでに宮崎駿監督が1993年頃に購入、「もののけ姫」の制作中に通勤用に乗っていた(まだ持っている?)のはトライキング(Triking)社(モーガンが欲しかったのに生産中止で買えなかったイギリス人が創業しちゃった会社)の三輪車で全く別物です。スポーツ型の三輪車としては当時最新型だった車(ちなみに同社は2006年に一度整理されたが、後に復活、今でも買える。ちなみにキット車もある)。 ![]() フォードT型(Ford Model T)。 1908年に製造が始まった人類初の大量生産による安価な自動車&工業製品がこのT型であり、19年近く造り続けられながら大きな変更点が無かった恐るべき工業製品。大量生産によって画期的な安価で製造され、アメリカの、そして世界の自動車文明化の原動力となりました。記録で確認される生産台数は1468万台なのですが、フォードは1500万台を超えていたと主張しています。 ちなみに戦後にフォルクス ワーゲンビートルに抜かれるまで50年近く世界記録でした、この生産記録。さらにちなみに現在(2024年段階)の世界記録はトヨタ カローラの約5300万台(参考までにトヨタの歴代総生産台数の20%がカローラである)。 まあ20世紀以降の人類の文化、大量生産による消費社会の基本を打ち立ててしまった車であり、自動車と言う存在を超えて機械化文明、大量生産によって誰もが文化的な生活を送る事を可能にした「製品」です。あまりに大ヒットしたため、いつまでも生産が続けられ、いつの間にか時代遅れになってフォード社を世界最強の工業製品会社にしたのと同時に、その経営危機の最大要因にもなってしまいました。 フォードの大量生産に関してはこちら の記事で散々書いたのでそっちを見てくださいませ(地球環境に配慮した過去記事の再利用)。 ![]() 例によって案内板では1909年となっていてオカシイのですが、展示車両の生産年月日ですかね?だとすると、かなり初期のモデルです。ただし初期のフォードT型は黒の車体とホイールしか存在せず(大量生産バカ一代のヘンリー・フォードが安価に造るのを徹底したため車体色のバリエーションは無かった)、赤い車体は明らかにオカシイです。修復時に適当な色に塗ってしまったか、あるいは本来は消防車(安価なT型はそれまで馬車だったアメリカの消防車の革命も引き起こしていた)だったのを普通の乗用車として修復してしまったかで、いずれにせよちょっと適当ですね。 ちなみに運転席には三つのペダルがありますが、クラッチ兼ギア変更ペダル、ブレーキペダル、そして後進用ペダルで、アクセルがありません。アクセル操作はハンドル横にあるレバーで行いなます。ちなみにギアレバーも無く、クラッチ兼ギア変更ペダルを半押しでニュートラル、下まで踏み込むと一速、何もしないと自動的に二速と言う運転方式でした。 さて、最初に述べたように見学順路を間違えてしまったため、ここから先は大量生産前の車の展示に入るのですが、正直よう知らんし、興味も無いのでここまでとして、次回は再び1930年代に戻ろうと思います。とりあえず今回はここまで。 |