ここで昨年1万6千円で買った、中古の望遠カメラを引っ張り出し、いろいろ撮影してみる。 意外と上手く撮れる事も多いのですが、いや、これは使い物にならんやろ、という場合も多く、結論からすると高価なオモチャ以上のモノではないあなあ、という感じですね。まあ、この10年で劇的にデジカメの性能は上がってるので、最新の望遠カメラならもっと綺麗に撮れるのでしょうが、私の場合、そういった需要もないので、これでいいかと思う。 ちょうどここに着いた時点で、スーパーフォーミュラの午前のフリー走行が始まったのでしばらく眺めてみる。 エンジン音は思ったほどうるさくなく、2リットル直列4気筒だとレースエンジンでもこんな所なのかな、という感じ。カーブの手前で減速する時のパパン、パン、という破裂音が特徴的でした。 スーパーフォーミュラの車体(シャシー)はイタリアのレースカー屋、ダラーラ製のモノを全チームが共通で使用するため、外見的な差はありません。よって車体の塗装でチームを見分ける事になります。空力系の部品くらいはチームごとに多少は手を入れるのかな、と思ってたんですが、外から見る限りでではほぼ同じものをそのまま使ってるようでした。 F-1でおなじみとなった運転席上部の安全用支柱、ヘイロー(Halo)も付いており、もっともF-1に近いマシンの一つという印象を受けます。というか全体的なバランスでは、むしろF-1よりかっこいいかもしれません。まあ、この辺りはヨーロッパF-2もそうなんですけどね。 エンジンはトヨタとホンダの両メーカが供給、2020年ではトヨタ6チーム、ホンダが5チームとなっています。ただしF-1と違って1台のみの参戦が未だに認められているので、台数は単純に×2とはなりませんから注意。 ついでにスーパーフォーミュラの特徴として、1レースに置いて合計100秒間だけ使えるエンジン出力増加装置、オーバーテイクシステムが積まれています。ただし一度使ってしまうと次の100秒間は使用できなくなり、これはほぼコース1周分に相当する時間ですから、使いどころは意外に難しいものとなっているようです。逆にF-1のような一時的に空力抵抗を低下させる装置、DRSのようなモノはありません。 でもってこのスーパーフォーミュラ、なるほど国内最高峰フォーミュラだと驚くことになった写真が撮れたので紹介しておきましょう。 この写真、パッと見るだけでも車輪が歪んでるのが判ると思いますが、よく見ると車体全体も歪んでいるのが判ります。ところが周囲の風景は普通にちゃんと撮影されてますから、単純なカメラの故障ではありませぬ。 これが受光部にCMOSセンサーを採用してる近年のデジカメの弱点なのです。夕撃旅団の主力カメラ、LX100 m2も受光部はCMOSなのでこういった写真が撮れてしまいます。 従来のCCDに比べて、多くの利点があるために採用されたCMOSですが、その特徴として同時に全体の受光を行うのではなく、横方向に分解して段階的に受光する点があります(ローリングシャッター)。この結果、上の段から順に露光して下に向けて順番にデータを書き出すため、対象が高速移動してると受光中に位置がズレてしまい、上のような写真となるわけです。 といってもこれが出てくるのは目の前を時速100q以上で移動してる、とかいった場合なので、普通はこの欠点に気づくことはありませぬ。が、スーパーフォーミュラは十分にベラボーに速いため、この現象が起きてしまうのでした。おそらく90度コーナー直前でも、200q/hくらい出ているように見えます。当然、無茶苦茶なブレーキングで一気に減速して曲がってゆくわけで、すげえな、と思う。 この点は新幹線の窓から目の前を横切る架線の支柱や防音板の継ぎ目などを撮影しても確認できます。CMOSセンサーだと支柱が斜めに傾いた写真になりますから、お試しあれ。 このズレを防ぐには一枚の写真を撮る時間を短縮するしかなく、シャッタースピードを上げる、あるいは解像度を落とす(受光に必要な時間を短縮する)、といった辺りしでしのぐことになります。 とりあえず解像度を落とすのはいやだったので、シャッタースピードを1/2500から最速の1/4000まで上げて見ました。LX100 m2の場合、1/16000まではできるんですが、最大望遠の撮影では画面が暗くなってしまうので、この辺りが現実的な限界です。結果、多少はマシになりましたが、それでもタイヤを見ると歪んでしまってるのが判りますね。 高価なデジタル一眼レフとかなら電子先幕シャッター積んでるので、この問題もある程度避けれるんですが、そこまでして防止したいものでは無いので、見なかった事にする。ちなみに技術的にこれを防ぐグローバルシャッターのCMOSというのもあるんですが、価格が高いうえに、まだそれほど高画素化できてないので、今のところ現実的な対策にはなりませぬ。 旧式の望遠カメラは受光部がCCD世代なので、そういった現象はおきませんから、その点では安心です。 ちなみに前輪ホイールの中のカーボンブレーキが赤熱化してるのにも注意。90度コーナーに向けて無茶苦茶なブレーキングで突っ込んで来てるのがわかります。ついでに後輪と前輪における、ブレーキディスクの発熱の違いにも注目。ぐいっと押しつけられる形になる前輪の方が、やはり大きな負荷が掛かってより高熱になるようで、強く輝いています。 |