さて、ペロ君、今回のテーマは台北における隆乳だ。

「…はい?」

日本語で言うと豊胸だね。

「またすごいテーマですな」

まあね。でも台北で以下の広告をやたら見たので、需要はあるんじゃないかなあ。ちなみに新宿の母に対抗して、台北の乳と個人的には呼ぶことにしてる。

「してる、と言われてもねえ…」



「これですか」

これだね。ちなみに写真は忠孝復興駅のものだが、それこそ台北のあちこちでこれを見たんだよ。

「なんか白衣のお兄さんがこちら指さしてるけど、これで豊胸関係の広告なの」

広告なんだよ。でもって、そういった外見を飾る事に熱心な人たちを相手にする商売だけに、社長さんも“論文栄登国際期刊”といろいろ装飾に熱心なんだ。その辺りを見て行こうか。

「論文栄登国際期刊ってどういう意味?」

論文が国際的な刊行物に次々と掲載されてます、といった意味。

「へー、スゴイじゃん。……で、人間の場合、論文が国際的な刊行物に掲載されるとより胸が大きくなるわけ?」

いや、人間でも犬でも、豊胸と国際的な刊行物に明確な関連性はほぼ無いだろう。そもそもこのお兄さんの胸がデカくなっても無意味だ。

「意味ないじゃん」

だから、自分を飾り付けるのに熱心だと言ったろう。そういった人なんだよ、多分。



こちらは台北駅にあったもの。左にズラリと並んだのがその「国際的な刊行物」なんだけど、全部中国語にされてしまっていて、どういったものなのか、そもそも学術誌なのか一般の雑誌なのかすら判らなかった。
ついにでに中国語を見る限り、皮膚科とか糖尿病とかの字も見えて、何が専門なんだかよく判らん。

ちなみにユーロ、イギリス、アメリカは判ると思うけど、三日月に星はシンガポールだ。ちなみにこの色と構図はオスマン帝国の国旗のパクリで、何考えてるんだか全く理解できんな、あの国の連中は。世界征服でもやるつもりなのか。
とりあえず紅いのは中華系の縁起のいい色だからだろうけど、月と星はオスマン帝国の末裔か、その近隣のイスラム国家以外では普通、使わないぞ。

「それはどうでもいいや。で、シンガポールって国際的なの?」

本人はそう思ってるね。私はチャンチャラおかしい、と思ってるけど。まあ、一度も訪問した事が無いので断言はしないが。

「若い先生と一緒に登場してる女性は何?」

実際にこちらで施術を受けた女性代表で身長168cm、体重44sとなってる。ついでにBMIは15.5だそうだ。なんでBMIが出て来るのかよく判らんが。
ちなみに44sならここから筋肉つけても49s以下のライト・フライ級を超える事は無いだろう。でもってライトフライ級で身長165pを超える選手なんてほとんどいないから、こんな広告出て無いでジムに通えば少なくとも国内、上手くいけば世界ランカーだって狙えるかもしれん。

「そう言われてもなあ」

まあ、そのくらい非現実的な数字という事だ。さらに言うなら豊胸手術に身長の情報が要るかな?

「体重とBMIは?」

それは一応、必要かもしれない。どうもこの豊胸は自分の体から脂肪を取り除き、それを豊胸にまわす、すなわち脂肪吸引みたいなのも兼ねてるらしいんだ。

「なんだかショッカーの改造人間手術みたいな世界だな…」

まあね。ただし、この広告を見る限りどんなものなのか、そもそも手術によるのかすら判らん。普通に考えれば手術だと思うけどね。

「そこまでしたいのが女心なのか」

そこまでしたいのが女ココロなんだろうな。ショッカーの改造人間も乙女心の表出の一つなのかもしれん。

「それはどうかな」

といった感じで、今回はここまでだ。


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