中国の帆船、いわゆるジャンク(Junk)の一つである沙船。清朝時代の船で、これは江戸初期の日本の絵、「唐船之図」を基に再現したものだとか(おそらく松浦資料博物館のもの)。箱型構造なので正面が平たい面となり、こういった派手な装飾ができたわけです。



こちらは船舶模型用の小物の展示。こういうの見てると無性に楽しくなって来る人間には天国です、この博物館。



ちなみにこちらは鯉魚旗。先に見たお祭り用王船のマストに付けられる幸運のシンボルだそうな。これ、ちょっと欲しいな、と思う。



これは珍しい展示、牽星板。実物は初めて見ました。ピラミッド状に積まれてる各板を使って天体高度を測るものです。
欧米の六分儀の代わりに、中国ではこれを使って天体の高度を見て、現在位置(経度、経度)を測っていました。あるいは逆に現在位置が判っていれば時間が測れます。

使い方は単純で、ヒモを目いっぱい伸ばした位置で手に板を持ち、これを目の高さに持って来て、その底辺を水平線に合わせます。
その時、目標となる天体、太陽や北極星がちょうど上辺の位置に来る大きさの板を探します。こうするとヒモの長さ、板の高さの二辺の長さが判る直角三角形ができるので、後は三角関数から星の見える角度が求められるわけです。これで太陽などの南中高度も求められます。この数字が判れば緯度、経度の計算ができますから、後は各板の大きさごとに予め角度を計算して表にして置けば、測定した瞬間に、求める数字が判る事になるのです。

まあ、このサイズの板ですから誤差も大きかったはずですし、経度の測定には正確な時計の存在が必須なんですが、中国の場合、明代末以降は大陸沿岸を離れる航海はほとんど無かったはずで(すなわち東西にはほとんど動かないから経度の誤差は大目に見れた)、なんとかなったんでしょう。



そしてなんとビックリ、グレート イースタン号まであり。
イギリス製の蒸気船で、2011年のイギリス旅行記で紹介した船ですね。1858年に建造された当時最大の鉄製の船で、総トン数で18900トンあったとされます。そしてまだまだ過渡期の船のため、推進装置としてはご覧のように外輪、スクリュー、さらには帆までついてるという船になってます。この船がイギリスの愉快な発明おじさん、ブルネイの設計によるのは以前の記事にも書いたので、今回は深入りせず。

ちなみに帆を張ってる状態を初めて見たんですが、艦首部の三角帆まであったんですね、これ。まさか19000トン近い鉄製船で逆風の中を帆走する気だったとも思えませぬが…


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