さて、今回は台湾の皆さんの“日本風の絵”における画力についてだ。
「レベルの高さに驚いたんでしょ?」
その通りだ。私なんかでは逆立ちしたってかなわん、というレベルの皆さんが、ほぼ九州と同じ大きさで日本の1/5の人口(約2400万人)の国に溢れてた。
「そもそも、あんたを基準にするのが問題なのでは?」
まあ、そういった意見もあるな。とりあえず、例の占い横丁の隣に展開されていた台湾の画力がこんな感じだ。
まずはこれ。
「なにかの展示会?」
医療国文展という名前の展示会なんだが、8月31から9月22日まで開かれたものらしい。白衣のお姉さんの絵があるのはそういったテーマだったみたい。
「え?9月22日」
うん、この日は11月4日であり、とっくに期間終了済みのはずなんだが…。会期中はもっと作品があったのかなあ…。まあ、台湾なので、としておこう。
ちなみに作品はこんな感じ。
「上手いね」
上手いよ。大したものだ。空間把握能力は若干、微妙なんだけど、物体把握能力とその立体的再現能力では必要十分なものがある。これ、カメラのレンズの画角とかも意識して描いてるんじゃないかなあ。さらに彩色に関してはもうスゴイと述べる以外にないだろう。いや、ホントに台湾の画力すげえな、と思う。
ちなみに入り口には白衣のこの方が。
「ああ、林黙娘(リンモニャン)さん。台北駅の地下通路に次いで、こちらにも」
例の台湾の守護女神、媽祖様の若き頃というか生前の姿を萌えキャラ化しちゃった方だね。何度も書いてるように本来は西門地区の萌えキャラなんだが、結構、あちこちで人気なのかもしれん。
ついでに上の吹き出しには、リンモニャンが君に活力注入、と書かれてるので看護師の資格をお持ちなんだろうな、彼女。…あるいは台湾では神様の医療行為は合法なのか?
「さあねえ…」
ちなみに左右に居るお供は左のが千里眼、右のが順風耳。これは本来、彼女の死後、神格化された後に出て来るお供なんだけどね。ついでにこの絵柄は前回見たのと同じ人が描いていると思われるが、本家西門のニャンゲート(仮称)では描き手が変っていてちょっと驚く事になる。その点はまた後で。
その先にはこんな展示も。
「先のとは別の展示なの」
うむ。ちなみにこちらの入り口にはこんな看板が。
展覧会のタイトル、奼紫嫣紅は日本語の百花繚乱とほぼ同じ意味。その右には「2019年アジアの有名イラストレーター展」とある。ついでに解説文をざっと意訳すると、以下の通り。
「近年、アニメ風の絵が台湾の若い層の大衆文化に強い影響を与えており、さらに国際的にも高い注目を集めています。アジアは日本アニメの画風に強い影響を受けており、アメリカや欧州のマンガからの影響を駆逐してしまいました。ただしどれも同じように思われているその作風も地域ごとに一定の特色があり、それらをよく読み取る必要があります。この展覧会は台湾の新しい世代に属するアニメ絵作家の作品を集めたもので、それぞれが独自の世界観を持っています。」後は挨拶文なので、以下略。
「…お疲れさま」
どういたしまして。ちなみに展示会の実行担当は開拓動漫事業有限公司と言う会社だが、主催は台北市文化局、すなわち台北市の後押しで開かれてるものだ。ちなみに動漫はアニメの事。ついでにこの会社、台湾の隔月発売のアニメ雑誌、Frontier
の版元であり、台湾の同人誌即売会の元締めやってたりする会社だね。
「たいしたものだね」
いや、ホントにたいしたものなんだよ。
ちなみに絵もこんな感じでレベルは高い。例によって空間把握能力はちょっと微妙なんだけど、そこまでの才能を持ってる人は百万人に一人くらいだから、それは仕方ない。十分すぎる画力だし、日本に来てもプロとしてやってゆけるじゃん、というレベルだ。右の人、空気遠近法使ってるしなあ。
「たしいたものだね」
いや、もうホントにね。
ちなみに地元の人のマンガもあった。正直、この中国語は全く意味が判らなかったがギャグ漫画っぽい雰囲気。
「違和感ないね」
ないよなあ。ちなみに真ん中のページの一番上に出てるのは、今回見た占いの木、聖筮だね。
といった感じで、今回はここまでだ。
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