海兵隊名物、まだ現役だったのか、のベルAH-1Wスーパーコブラ…だと思ったんですが、いやちょっと待て、これローターが4枚だ。となると新型で2012年ごろから本格生産が始まったばかりのAH1-Zのヴァイパー(Viper)ですよ、これ。あれま、初めて見ました。

自衛隊がゴジラと戦うのに使ったりした事で有名な攻撃ヘリ、AH-1 コブラですが陸軍用と海兵隊用はほぼ別の機体というほどその内容が異なります。
陸軍がベトナム戦争時に開発したのが、単純な単発エンジンで通常武装もやや非力な無印AH-1コブラ(日本の陸自が使ってるのがこれ)。
対して海兵隊が採用したのがエンジンを双発にして一つのローターを回すようにし、その大出力を利用して重武装となった(W型以降ではサイドワインダーまで積める)AH-1 “スーパー”コブラなのです。陸軍のコブラに対し、大幅に能力が強化されたのが海兵隊のスーパーコブラであり、その最終形態がこの4枚ローターになったヴァイパー、AH-1の“Z”、すなわち最終形態の名を与えられた機体なのです。

ちなみに余談ですが、元は対戦車ヘリで分厚い防御に守られたヘリという印象のあるAH-1ですが、訓練中にバードストライク、鳥がローターのハブ部(回転中心部)にぶつかって墜落した事があります(2012年5月18日付のニューヨーク ポスト紙の記事による)…



とにかくゴツイな、というのがAH-1Z、ヴァイパーの印象です。自衛隊のAH-1を見慣れた目には4枚ローターもちょっと異様に見えます。丸みお帯びた、視界のいい天蓋部(キャノピー)部は歴代スーパーコブラの特徴ですね。雨なのに日除けをキッチリ張り詰めてるのは近くで見られたくないものがあるから?

海兵隊は2019年までに189機を採用する予定で、内58機のみが新造機、残り131機は既存のAH-1Wを改修してZ型にアップグレードするようです。ブレードは増えてますが、実はエンジンはW型と同じのをチューンして少し馬力を上げただけなので、意外に簡単に改造出来てしまうようです(Aviation week サイト 2011年1月10日の記事におけるCol. Scott McGowan, Marine Corps aviation plans branch chief. の発言による)。この辺り、なぜか日本語圏の情報ではヴァイパーはほぼ新造機である、とされてるのを見ますが、どこから出て来た話でしょうかね、これ…

ついでに陸自はなんでアパッチなんかを採用して、先代スーパーコブラのW型を無印コブラの後継機にしなかったのか、どうにも理解に苦しむ部分です。どうせアパッチでもゴジラには勝てないので、こっちで十分だと思うんですけどね。





これもまだ現役だったのかのUH-1 イロコイ…と現地では思ってたんですが、もしやと思って帰宅後に確認したら上のAH-1Wと同時進行で開発された新型AH-1、“Y”型のヴェノムでした。あれま、これももう普天間に展開してたのか。誰も注目してませんでしたけどね(笑)。

もともと無印コブラも、無印UH-1からの発展型なので、両方を同時に近代化する事で海兵隊はその開発コスト低下をねらったようです。なのでエンジンを始め多くの部品が共通化され、両者同時に低コストでの近代化を図っています。



ちなみに雨が強くなってきたので、手前のテーブルで展開してたお土産屋さんが、機内に避難してました。本当なら内部も見学出来たみたいなんですが(笑)…。

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