その先には大型機が。嘉手納の空軍基地から来てたKC-135R給油機。
ある意味でアメリカ空軍の影の主力機とも言えるのがこの機体。B-52からF-35まであらゆる機体で空中給油が前提となってるアメリカ空軍ですから600機を超えるKC-135を運用しており、これを超える機数を持つのは現在ではF-16のみでしょう。空軍の知られざる主力機なのです。

C-135は良く知られるようにアメリカ空軍の軍馬的な多発ジェット機で、輸送機のC-135から給油機のKC-135、電子戦用のEC-135、さらには偵察型のRC-135なんてのまでありました。もともとはボーイングが開発していた大型4発機、スミソニアンのウドヴァーハジー館に展示されていたボーイング367-80に目を付けた空軍が大量導入した機体。
ちなみに以前にも書いたように367-80は後に旅客機のボーイング707の原型にもなったので、C-135シリーズと707は兄弟機という事になります。

でもってこの機体外板に書かれていた説明書きを見ていたら1960年7月という日付書いてありました。ベトナム戦争前の日付ですが、これが導入年月日だとするとすでに60年近く飛んでる事になります。いやいや、いくらなんでもそんな無茶な…と思いながら帰宅後に確認したらホントに導入年月日でした。マジですか…。物持ちいいな、アメリカ空軍。

この機体番号59-1492のKC135は1960年7月に部隊配備となっており、なんと今年で59歳です。それって、ベトナム戦争にライト兄弟のライトフライヤー号が参戦するのに等しい機体年齢なんですが…。しかも同時期に配備された他の機体にもまだ現役なのがいます。すげえな、米軍。



主脚は4輪でさすが大型機、と思いながら写真を撮っていたら、突然、後ろから声を掛けられる。
写真を見せてくれないか、と英語で言われて、え?何?と思ったら軍属である事を示す身分証明を提示され、写真が問題ないか確認させてくれ、との事。

あれま、こんなの初めての経験でございました。
首都圏の米軍基地で写真の検閲を受けた事は一度も無かったのでちょっとビックリ。しかも相手は私服なので、あからさまに警備してるわけでは無く、怪しいと思った人物にすっと近づいて声を掛けてるようです。ここ治外法権のアメリカ基地内ですが、法に触れるとなるとどうなるだろう、と思いながらとりあえずモニタで再生して見せる。幸い私の写真は大丈夫、という事で消さないですみましたが、同行していたK山さんはいくつか消すように言われてたようです。その辺りの基準は不明。
そういや入場の際も、あまり大きな望遠レンズは持ち込めない、としてましたが、迷惑行為防止ではなく、機密保持上の問題だったのか。

これが最前線の基地沖縄であり、中国系の皆さんも多いからなのか、それとも最近はこれが普通なのか、ちょっとよく判りませぬ。そもそも米軍の基地際に来たのが7年ぶりですしね。



胴体後部。ケツに安定翼が付いた空中給油用の差し込み管(Probe)が見えてます。二個ある窓はAPU(補助動力装置)の給排気用の窓で、APUの使用が終わったら閉じられるようです。

よく見ると胴体表面がなんか凸凹してるのですが、恐らく補強用の細い板を胴体の構造に沿って張り付けてるものらしく、KC-135ってのはそもそもこういった機体なのか、それとも経年変化で補強しないと危なくて飛べないからなのか…。いずれにせよ大型ジェット機の胴体にこんなものがあるのは初めて見ました。

個人的に一番気になったのは垂直尾翼から張られたアンテナ線と思われるケーブル。前部搭乗口の上まで延びており、長さでは20mはあるか、というシロモノ。すなわちかなりの長波用で、下手をすると一桁MHzというスゴイものの可能性があります。第二次大戦期の艦船用長距離無線なみの長さです。なんに使うんでしょうね、これ。さすがに無線用では無いと思うんですが…



お尻にある給油係が下を見る窓。
60歳の給油機ですから、ほぼ全部手動のようで、ここで下から近付いて来る機体を見ながら給油します。よく見る米軍機の空中写真はここから撮られてるものが多いです。



主翼後部下面、なんか主翼後縁部の外装板が一部、剥がれてるようにも見えるんですが…
嘉手納から飛んできた以上、今でも普通に飛んでる稼働機のはずですが、いいのか、これ。それともC135ってこんなものなの?という辺りどうもよく判らず。

NEXT