さて、ペロ君、今回のオマケ編は、読谷より北へ
県道6号線を走ったことがある人はたいてい知ってると思われるこれだ。
「バックミラーじゃん？」
違うよ、問題はその上の鳥居だ。
「沖縄にも神社あるんだ」
神社はある。というか仏教より多分神道の方が沖縄には入ってる。
だたし今回はその点に深入りしない。
なぜなら、これは神社ではないからだ。
「はい？」
ちなみにより近くで見るとこんな感じ。
「左右にズレたツイン鳥居。…へんな神社だね」
いや、だからここは神社ではないんだ。
アメリカ陸軍沖縄駐屯地（US Army Garrison Okinawa）なんだよ。
以前はこの鳥居からトリイ ステーション（Torii Station）と呼ばれていたんだが、
2014年に現在の名称に変更されたらしい。
ただし、今でも地元ではトリイ ステーションで通じるし、
アメリカ陸軍も地元での広報活動などではその名を使ってる。
通称として残ってる、という感じだね。
「なんで鳥居？しかもここまで良くできたのを二つも…
ああ、でも嘉手納基地のショッピングセンターにも鳥居があったから、
単にアメリカの皆さんは鳥居が好きなだけ？」
ちなみに昔は鳥居の色は白で、上の額縁部分には陸軍の☆マークが入ってた。
「シュールだな」
となると、連中は色にこだわりは無い。問題は形なんだ。
この点を基に合理的な推理から得られる結論は
アンドロメダ星人との秘密通信用アンテナに鳥居が向いている、とかかなあ。
そもそも基地の名前にまでトリイとしてるところが実に怪しい。
「…帰っていい？」
まあ、待ちなさい。
普通に考えるといろいろありえない、と思うだろうが、
このトリイ ステーションは日本にある米軍基地の中ではもっとも怪しいんだ。
「まあ、こんな鳥居がある基地じゃなあ」
いや、そういう意味じゃない。
ここは通信基地（Communications）として、
同時に沖縄における陸軍司令部を兼ねて設立されたんだけど、
実は何をやってるのかイマイチよく判らないんだ。
通信基地だから、通信大隊（78th Signal Battalion）がいるのは当たり前だ。
さらに嘉手納から世界中に移動する陸軍部隊の援助などを行う
地区支援集団（10th Area Support Group ）の存在も、まあ判る。
ちなみに第10支援集団は陸軍部隊だけど、専用の運送用船舶まで持ってるぞ。
さらに余談だが、アメリカ軍の地対空ミサイルの管轄は陸軍なので、
嘉手納基地に配備されてるパトリオットミサイルも陸軍が運用してる。
「それで、いいじゃん」
ところがそれ以外に、いわゆるSFGがこのトリイステーションには居るんだよ。
「SFG？スーパーファミコンのゲーム、の略？」
ちゃうで。
Special Forces Group、陸軍特殊部隊、通称グリーンベレーだ。
「…なんか秘密作戦とかやっちゃう人たち？」
それだ。その中でも第一番の名称を持つ1st Special Forces Group、の1st Battalion、
すなわち第一特殊部隊の第一大隊がここに居るんだ。
ちなみにアメリカ陸軍特殊部隊は現在、第1、3、5、7、10、19、20と七つの部隊（Group）から成るが、
アメリカ国外に駐屯してるのは、この沖縄の第一特殊部隊の第一大隊、
そしてドイツのベーブリンゲン（Böblinge）に居る第十特殊部隊の第一大隊だけだ。
「あれま」
どうだい、怪しくなって鬼太郎。否、来たろう。
「なるほど、そうなると二つの鳥居にも秘められた意味がありそうだ」
まあ、実際は出口と入り口のゲートが別々にあるんで、
それぞれに鳥居を付けてるだけなんだけどね。
「…ひでえオチだな、おい」
といった感じで今回はここまで。
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