■天竺動物軍団 その2

さて、そういうわけで、天竺動物軍団、その2だ。

「さいですか」

まずはこれ。



「白馬!」

白馬だ。ちなみにここはニューデリー地区ど真ん中。

「マハラジャの王子様!」

いや、乗ってるのはツナギ着たアンちゃんだった。

「バイクだけじゃなくて馬も使うんだ」

いや、タクシーの運転手さんに聞いたら、これは結婚式用だ、との事なので、
おそらく結婚式があると新郎か新婦を乗せて歩くんじゃないかな。

「それはそれでスゴイな」

日本のバブル期に流行った、アホみたいな結婚式を思い出したよ。
ちなみに某友人は、バブル何てとっくに弾けた後に結婚したんだが、
母親の主張で、軽井沢で白馬の馬車に乗って新郎新婦登場、という結婚式を検討するハメになった。

「…やったの、それ?」

いや、嫁さんにそれなら結婚しないとまで言われて断念した。
個人的にはちょっと見てみたかったけどね。

「だろうな」

ちなみにデリー特区の中には、動物乗り入れ禁止、の標識がやたらあって、
そんなのに乗ってくるやつ居るのか、と思ったんだけど、
このように平気で乗り入れていたから、確かにあの標識必要なんだろうな。

「インドでも白馬に乗った王子さまって憧れなのかね」

まあ、インドだと白馬に乗ったマハラジャで、馬の上で踊り出しそうだけど、
それなりに需要はあるんだろうな。

「需要?」




お次はこれ、牛。
ホテルのすぐ裏の辺りで見た光景、すなわち国際空港のすぐ近所でこれだ。

「ホントに街中に居るんだ」

居たねえ。ただしこれは飼い主が居て、左奥に見えてるおっちゃんがそれらしい。
見づらいが、あれ牛車に乗っていて、その牽引用なのかもしれないけど、
牛車を引いてるのが2頭、引いてないで遊んでるのが4頭と、よくわからんシステムだった。

「システム?」



こちらはタージマハルの街、アーグラの街中で見た牛。

「野良?」

のように見えるんだけど、Kobikkyさんによると、この手の牛は地区ごとに飼われているらしく、
以前、日本人駐在員の車がひき殺してしまったら、周囲からわらわらと人が集まってきて、
弁償するまで許してもらえなかったそうな。
実際、よく見ると、この牛も首のあたりに何かの飾りをつけていて、宗教的なものかもしれない。

「へー」

ちなみに撮影には失敗してしまったのだが、意外な生き物として、ノブタも居た。

「ノブタ?」

イノシシと豚の中間みたいなヤツで、インドではヒンズー教徒もイスラム教徒もこれを食べないから、
都市の中で群れを成して暮らしてるんだ。

「それもすげえな」

さらにスゴイのはこのノブタを狙って街に来る動物だ。

「人間じゃなく?」

人間じゃないよ。ヒョウだ。

「はい?」

レパード、レオパルド、すなわち豹だ。

「ネコ科の?」

ネコ科のだ。

「猛獣じゃん」

猛獣なんだよ。今回帰国後確認した範囲では、まだデリー地区ではそういった被害はないようだが、
西の外れの大都市ムンバイでは、年間10人前後の人間がヒョウに襲われ死者も出てるそうだ。
ちなみに街中に溢れる野良犬も彼らのエサになってるらしい。

「いや、ムンバイって…」

そう人口2000万の大都市に、ヒョウがいるんだよ。

「すげえな、インド…」

まあ、実際はムンバイに隣接する国立公園に生息してるんだが、
南北でせいぜい12q、東西で4qほどの国立公園に20頭を超えるヒョウが生息してると見られてるんだ。
これは他の地域の2倍から3倍と明らかに過剰な生息密度らしいんだけど、
どうもこれがムンバイの街がヒョウにエサを与えてる結果らしい。
ちなみにこの国立公園はムンバイの国際空港から7qしか離れて無いぞ。

「すげえな、インド…」

まあ、日本でも札幌に世界最強の哺乳類の一つ、ヒグマが出没したりするけど、
それでもせいぜい100万都市だからなあ…



「自撮り画像を迂闊にネットにアップするのはやめた方がいいぜ。いろんな人が見てるからな」

いや、ペロ君が見間違うのも無理は無いが、これは私ではなく、タージマハルで見たサルだ。

「あ、そうなの」

とにかくデリー周辺の北部インドはサルの国だった。
どこ見てもサル、前にも書いたが大統領官邸の横にもサルなんだよ。
それはタージマハルも例外ではなく、この世界遺産もサルだらけだった。




インドの野生動物は人を怖がらないのが多いのだけど、サルもそうだった。
ご覧のように餌付けされてるからだろう。
ちなみにこの子はアカゲザルだろうね。

「ニホンザルに似てるな」

実際、近縁種らしく、両者の交配は可能なんだ。
千葉の南じゃ、野生化したアカゲザルとニホンザルの混血種が見つかってる。

「あれま」

ちなみに房総半島はニホンザルが爆発的に増えた典型的な地域で、
昭和40年ごろ、1960年代まではほとんど見かけず500頭以下と見られていたのが、
21席世紀に入った後には4000頭近くまで増加したんだよ。
なんでかは全く判らんが、日本全土でサルは増えてるらしいけど。
千葉県の場合、ここに脱走して野生化したアカゲザルが乱入、
日本で最もエキサイティングはサル地帯になってる。

「あれま」

この結果、千葉県は毎年1000頭を超えるニホンザルを捕まえては殺してる。

「あれま」

ちなみに21世紀に入った後、日本では毎年平均1万頭を超えるニホンザルを
捕まえては殺してるんだが、
そのうち約1/10はほぼ千葉県だけで殺してる事になる。

「あれま」

我が故郷ながら、豪快であるな。

「あれま」

といった感じで今回はここまで。

「あれま」



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