■混沌のインド



さて、かつてのムガール帝国の心臓部、
そして現在のオールドデリーの中心部の位置関係を確認しておきましょう。

デリーの江戸城、レッドフォートの前に大通りが西に延びており、
その南側にあるのが前回見たジャーマー マスジド、その周辺から南西にあるニューデリー駅までが
バザールやマーケットといった路上市場が密集してる地区のようです。
今回はその一部だけを覗いて来ました。
いろんな意味で凄かったです、はい(笑)。



さて、ジャーマー マスジド見学は終了、とりあえずここから見えてた混沌地区、
南側に広がっていた市場地帯に向います。



でもって、いきなりこの人の波。
ここに人力三輪車やバイクがガンガン突っ込んで来るので、まあ油断がなりません。

写真左手に写ってる、白い帽子を被った人はムスリム、イスラム教徒の人で、
やはりこの一帯はそういった人が多いみたいでした。
ちなみにこの手の白い帽子を被った人は中国南部でも見かけますが、
あれもイスラム教徒の皆さんで中国なので漢字で回教徒、という事になります。

宗教は敵だった毛沢東の共産党全盛時代も
なぜか彼らは生き残り(この辺りの資料は未だ見たことが無い)、
そしてなぜか中国拳法の強力な一派をなしておりました。
「拳児」と「バーチャファイター」で有名な八極拳も元はイスラム式の拳法ですね。

世界中で中国にしか見られない肉弾派イスラム教でして、これが中国回教の特徴でもあります。
ほとんどの回教式拳法では、開祖が道士や禅僧に拳法を習って取得したとされるので、
イスラム教徒自らが始めたものではないようですが…



さて何処まで行っても人、人、人。
両脇は全て個人商店です。
今のところ私はインド以外でこんな風景を見たことがありませぬ。
返還前の香港、九龍城周辺がかろうじて似てるかなあ。

さすが世界人口一位間近な国は違うな、という感じでございます。



いつからそこに掛ってるんだ、というような看板、
廃墟のような建物、そして絶対に盗電してるよね、という怪しい電線、
ああ、ここはインドなのだ。オールドデリーなのだ。

ちなみに欧米系観光客は何人か見ましたが、
日本人は私たち二人だけ、後に散々見る中国人観光客も全く見かけず。
まあ、観光地では無いのでしょうが、見に来る価値はあると思います。
…ちょっと覚悟がいりますけどね(笑)。



そこで見かけたよく判らん看板。
左端の人生語りたがる胡散臭いラーメン屋のオヤジみたいのが、
この北部デリー地区(Municipal corporation)の区長らしいのですが、
じゃあ、その横にカッコつきでボスとあるのは何者?
そもそも肩書も無しで写真と名前だけ出てる人は誰で、さらに名前すら無い人たちは何なの?
でもって、この看板、メッセージらしいメッセージは
ジャーマー マスジド地区にようこそ、の一言だけ。

……選挙運動か何かなのかなあ…

余談ですが、一番上のメッセージが英語、二番目は北部の、というかインドに侵入してきた
イスラム教徒、すなわち支配者階級が使っていたペルシャ語系のウルドゥー語、
一番下がヒンディー語で、どうもこの一帯はウルドゥー語の方が上位にあるようです。
ちなみにそういった言語ですから、同じインド圏ですがパキスタンの公用語は
ヒンディーではなくこのウルドゥー語となります。


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