■インドのバイク事情
さて、今回はインドのバイク事情だ。
「まともじゃん」
まあね。Kobikkyさんがそこら辺りの事情にとても詳しく、
へえーと思ったことがいくつもあったんだよ。
例によって日本じゃほとんど知られてない話なので紹介しておこう。
「さいですか」
ここ数年、中国に次ぐ巨大な自動車市場として注目を集めてるインドだけど、
実態はまだまだバイクが主役で、タイなんかとそれほど変わらない感じだ。
街中でも数多く見たし、こういった中古バイク屋さんらしい店もいくつか見た。
「日本のバイク?」
が、多いのは事実だ。
その辺りはタイなんかと同じだね。
とりあえず聞いたことも無い現地メーカー製ばかりが走り回ってる上海やソウルとは違った。
それでも日本では聞いたことも無い会社のバイクも結構走ってたりして、それがちょっと面白かった。
「面白い?」
そう、こんな感じに。
「なんかレトロでカッコいいじゃん」
そうなんだよ。
狙ってやったわけではなく、ホントに設計が古いだけなんだが(笑)、
このロイアル エンフィールドというのは元イギリスのバイクメーカーで、
創立は1855年、おそらく世界最古のメーカーだと思われる。
「インドに輸出してるんだ」
いや、厳密にはイギリスのロイアル エンフィールド社はすでに現存しないんだよ。
トライアンフなどのようなイギリス バイクメーカーと同様に1970年代に倒産してる。
ところがインドに現地法人があり、こちらは独自の現地工場を持っていて、
しかも別会社として、イギリス本社倒産後も営業を続けてしまったんだ。
ちなみにこの辺りの話を読んで「バイクメ〜ン」を思い出したあなたは
私の魂のパルである。
「いや、それはいいから」
その後、エンフィールド インディア社という名前でインド国内で活動してたんだけど、
本家が消滅後、1995年にそのロイアル エンフィールドの商標を買い取り、
世界最古のバイクメーカーの名を復活させたらしい。
ところがインド側には設計部門が無かったので、ながらく1960年代のクラシカルなバイクを
生産し続ける事になって、こういったモデルが生き残る事になったのだとか。
つまり狙ってやったんじゃいなんだよ、これ。
ただし、今ではそれがウケてしまったので、あえてこういったデザインのままにしてるらしいが。
ちなみに写真のバイクはブリット350というものだが、このブリットというバイクは
1932年発売開始なので、ホンダのスーパーカブを抜いて、世界最古参のモデルとなってるようだ。
もちろん、途中で何度かモデルチェンジはしてるけどね。
「なんかすげえな」
でしょ。
ちなみに2000年代に入ってからはエンジンを始めとする設計部門が立ち上げられ、
欧米の排気ガス基準を満たす車種に生産を切り替えつつあるようだね。
ただし外見だけは相変わらずなので、中身だけがキチンと新しくなったクラッシックバイクとなっており、
そこがまたちょっといい感じではある。
写真のこれも2003年の比較的新しい型みたいだが、デザインは昔のまんまだし。
おそらくこの辺りまではナチュラルにデザインを新しくするのが面倒で
そのまま造られていたクラシカルなバイクだろう。
ちなみに日本じゃまず見ないけど、帰国後調べて見たら意外に国際展開をやっていて、
ヨーロッパ、アメリカ、台湾などは正規代理店があるらしい。
そのうち日本にも入ってくるかもしれん。
「ちょっと面白いな」
でしょ。
お次はこれだ。
「ホンダのスクーター?」
ホンダのスクーター、アクティヴァ(Activa)だ。
で、これちょっと変わってるでしょ。
「変ってる?ああこのフロントの飾り…というかライトが左右にもある?
いや、これウィンカーか。まあ、カッコいいと言えばカッコいい?」
じゃなくて、これインドならではのモノによく似た形象らしいんだよ。
「インドならでは?」
これ、インドで人気の神様、ガネーシャだ。
このフロント部分、ガネーシャの目と鼻に似てるでしょ。
「ああ、言われてみれば…」
インドのスクーターは現地のヒーローという会社が人気なんだけど、
近年、ホンダがこれを猛追してるらしい。
(本来はヒーローとホンダの合弁会社ヒーローホンダだったのが分離した)
そのホンダ人気の原動力の一つが、このアクティヴァというスクーターなんだが、
人気の理由の一つに、このフロントのデザインがあるそうだ。
ガネーシャ、インドでは人気だし、どうも交通安全の神様でもあるらしいし。
「へー」
非公式ながらガネーシャマスクという呼び方もされてるそうで、
なるほど、インドの商売ってそういった面があるのかと思った。
ただし神様をバイクに貼りつけてしまうのはちょっと恐れ多い、
という面もあるようで、現地のホンダはそういった呼び方も宣伝もしてないようだけど。
「へー」
といった感じで今回はここまでだ。
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