■見知らぬ機体たち
ここにもあったホーカー ハンター。
これもF.56かFGA56のどっちかでしょう。
ちなみに機首下、銃口の後ろに変な出っ張り部分がありますが、
あれがいわゆる“サブリナ ブリスター”です。
このサブリナは当時人気だったモデルさんの名前で、ヘップバーンの映画とは無関係。
何で女性モデルさんの名前が?というと巨乳で有名な人で、
機体の両サイドに出っ張ったこの部分を、
まあ、その、そういった風に見立てたわけですな、イギリス人。
とりあえず飛行機の代名詞も女性名詞だし、分類上はメスなんでしょう。
この辺り、インドで何て呼ばれていたかは知りませんが。
ちなみにこれはアデン(ADEN)機関砲の銃弾リンクを回収するための箱。
薬莢は捨てちゃうんですが、実戦だろうが演習だろうが銃弾のリンクだけはこれで回収するのです。
これはリンクが実は純金製だった、とかいうわけではなく、あの位置から飛行中に排出すると、
写真で見えてる胴体後部下のエアブレーキを直撃、これを破損してしまう事が判明したからです。
この機体だとエアブレーキが開いてしまってるので判りにくいですが、
ハンターのエアブレーキは畳んだ状態でも少し上に出っ張ってるのです。
この事故が起きた当初は薬莢が犯人と思われたらしいのですが、後にリンクが犯人と判明、
だったら全部回収しても大した量ではないからと、あの箱が取り付けられたのです。
よってあの出っ張りは機関砲収納部でも、電子装置でも燃料タンクでも無く、
単に銃弾のリンク部分を回収するためだけに付いてます。
ちなみにほぼ最後の型までこのまんまなので、他に解決策、無かったんでしょうが、
どうもなんか微妙な失敗作感があるな、ハンター…
ちなみに30oという強力な機関砲であるアデンですが、実はリヴォルバーカノンでもあります。
この辺り、アメリカはF-100辺りまでで見切りをつけて、
銃身ごとぶん回すガトリング式のヴァルカン砲に切り替えるんですが、
イギリスではハリアーやジャギュア辺りまで、このアデン砲で頑張ってました。
余談ですが、インド空軍、ジャギュアも運用してるんですよね…
(2018年現在現役)
産まれて初めて見る機体、ポーランド製の初等ジェット練習機、PZL TS-11 ISKRA。
ロシア語の火花から取った名前らしいので、発音はおそらくイスクラかと思います。
ただし確証は無し。
ポーランド空軍とインド空軍だけが使用した、という機体で、
ホントにインド空軍、どれだけバリエーション豊富な空軍なのよと思いにけり。
1975年から導入開始、途中で追加購入したりして2004年まで75機前後を購入してます。
総生産数は400機前後と見られてるので、1/5前後をインドが購入した計算ですね。
…こうして見ると、日本の機体をインド空軍に売りつけようという、
最近の動きは意外にいい着想のような気がして来たなあ…
お次は再びソ連機で、これも世界中でおなじみのミグ23の恐らくBN。
インド空軍ではBNとMFを合わせて130機前後、1981年から2007年まで運用してました。
これ、ミグ25とほぼ同じ時期ですから、これまた部品が無くなって退役のパターンでしょうか。
言わずと知れたソ連製の可変翼戦闘爆撃機で、解説はもういいですよね…。
ちなみにミグ21の陰に隠れて印象薄いですが5000機ほど造られてます。
数で勝負がソ連の生きる道であり、これに対抗するためにボイドが生み出したのが、
高性能なだけでなく安価で大量配備が可能だったF-16なのです。
当時の計画ではF-15は700機前後しか配備されない予定でしたから、
それで5000機のミグ23、1万機以上(笑)のミグ21を相手に出来るわけがありませぬ。
兵器というのは個体の性能だけでなく、全体の運用で見ないと
戦争における強さは判らない部分があるのです。
ちなみに撮影に失敗しましたので写真なしですが、なぜかデリーの空港、
インディラ・ガンジー空港のゲートガードにもミグ23が使われてました。
まあ、元軍用空港ではあるんですが、千歳空港の入り口にF-4ファントムIIが
飾ってあるような違和感はありにけり…。
これも生まれて初めて見る機体、ソ連のツポレフTU-124。
1966年から1981年まで3機だけ運用されたとの事で、
どうも軍上層部の人たち用のVIP専用連絡機だったみたいです。
1960年初飛行らしいのですが、エンジンは機体横に貼りついた設計で古臭さは否めませぬ。
ただしこの時代ですでにターボファンだったそうで、変なとこで進んでるな、ソ連機。
これも初めて見るというか、存在すら初めて知ったアントノフAn-12。
ターボプロップ4発のソ連製輸送機で、インドでは1961年から1993年までの間、
約60機前後を運用してたようです。
ちなみに輸送機なんですが、インド空軍は1971年の第三次印パ戦争の際、
これから爆弾を落として爆撃までやった、という話があり。
ホントだとすると、無茶するなあ、インド空軍…
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