■行くぜ大型エアフォース ワン
さて、ここからは普通にエアフォースワンと聞いて思い浮かべる
大型機を見て行きましょうか。
ボーイングVC137C / SAM
26000。
1962年から1998年まで、36年間使用が続いたアメリカ大統領専用機。
そしてこれが最初の大統領専用のジェット機でもありました。
(厳密言えばその前から通常の707をアイゼンハワー大統領が使用していたが
大統領専用機としての改装を受けてない機体だった)
ただし副大統領や国務長官クラスの政府高官も使う事があるので、
政府高官機、と言った方が実態に近いかもしれません。
ちなみに36年間ずっと第一線で使用されたわけではなく、
1990年には747-200B改造の新型機が導入されており、
その後は予備機として、空軍が保管、必要に応じて飛ばしていたようです。
ボーイング707-320Bの軍用版、C-137の一種という分類ですが、
C-137は最初から軍用輸送機として製造されるものなのに対し、
この機体は民間用の707を改造したもので、通常のC-137とは全く別物です。
SAM 26000は特殊航空作戦(Special Air
Missions)の頭文字に
機体のシリアルナンバー(6)26000を組み合わせたもので、一種の愛称として使われていたようです。
1962年導入なのでケネディが最初にこれを利用、以後、ジョンソン、ニクソン、フォード、
カーター、レーガン、ブッシュ1号(途中で747-200Bに更新)までが使用していた事になります。
その後、クリントン時代にも747ではなくこちらが使われた事があったようで、
最終的に8人の大統領が搭乗した機体となりました。
ついでに言えば、1983年にアメリカを訪問したイギリスのエリザベス2世女王は、
その滞在中の移動にこの機体を使ってますので、イギリス女王まで搭乗した機体となってるようです。
ちなみにこの塗装は大統領夫人のジャクリーンの意向で、
工業デザイナーのローウィ(Raymond Loewy)に依頼してデザインさせたものらしいです。
ローウィはタバコのラッキーストライクの箱をデザインした人物であり、
専売公社が1952年に、莫大な金を払って新しいタバコ、ピースの箱のデザインを依頼した人でもあります。
ちなみに1962年のケネディ時代からの運用、という事はすなわち、
ケネディが暗殺された時もこの機体でダラスに飛んでおり、その遺体をワシントンDCに持ち帰った機体でもあります。
同時に機内で史上最悪のマヌケ大統領となる男、当時副大統領だったジョンソンが
新大統領への就任宣誓をこの機体の中で行ってます。
よって史上唯一の大統領就任宣誓が行われた航空機でもあるわけです。
中に入ると、コクピットが見れました。
1998年まで現役だったため、大分手が入ってるようです。
まあ同じルーツを持つ給油機、KC-135とかは2018年現在でまだ現役ですから、
707系の近代化はアメリカ空軍にとってはお手の物だったのかもしれません。
それでもこれだけのスイッチ類の意味を全部覚えるだけで一苦労でしょうね…
機体内は直接展示に触れられないよう、こういった透明パネルで保護されてます。
おかげで写真撮影は一苦労で、しかも後から人が来てしまうと、ゆっくり撮影してる時間もありませぬ。
潜水艦の展示みたいだな、と思ったり。
無線士の席も近代化してました。
707辺りの時代だと、ぎりぎり航法士いたのか、それとも最初から無線士だけだったのか、
よくわかりませんが、とりあえずここに座席は二つありました。
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