■まずは昼飯そして第四ハンガーへ
さて、早くもこの段階で午後1時近い。
でもって前回見たICBMの館と最後の第四ハンガーを結ぶ通路の二階部分に軽食の売店があるのを発見。
昨日は昼飯抜きでしたが、今日は最後の第四ハンガーを残すのみ、って事でとりあえず食事を取る事に。
本当ならここはヴァルキリーカフェというビッフェ式のレストランがあって、そっちがお勧めなんですが、
これは入り口の売店二階にあるため、ここから戻ってたら歩いて5分以上、往復で10分以上かかってしまうのでした。
よって、とりあえずここでいいや、という事に。
ハム、チーズ、レタスが入ってるっぽいブリトー風のランチパックとドクターペッパー。
この手のお店のものとしては美味しい部類に入るのですが、両者で7.88ドル、約900円と結構いいお値段。
まあ、入場無料で散々楽しませてもらってますので入場料代わりと思えば安いものですが。
さて、ではいよいよ最後の第四ハンガーに。
2016年に完成した最新ハンガーで、当然、私も今回が初訪問となります。
以前は博物館の外の空軍基地内にあった展示ハンガーや屋外展示されていた機体を集めており、
入り口から見て右が実験機&試作機の展示、左手が大統領専用機、いわゆるエアフォース ワンの展示となってます。
その間にさりげなく輸送機の展示区画もあったりするので、これまた結構な数の機体があるのです。
ええ、あるんですよ…さあ、最後のヤマ場へレッツゴー。
まずはノースアメリカンX-15A-2。
当サイトでは何度も登場してる最高飛行速度記録と飛行高度記録を持つ有人機です。
スミソニアン航空宇宙本館にあったのが1号機で、こちらが2号機になります。
実際は3号機まで造られてるのですが、3号機は事故で失われて現存しません。
最速であると同時に高高度飛行を目指した機体でもあり、空気なんてほとんどない高度を飛ぶために、
その動力はロケットエンジンを搭載してました。
このためアメリカ空軍はこれを宇宙船に分類しており、ここの展示も宇宙関係のコーナーに置かれてます。
アメリカ空軍によれば最高速度で時速約7200qを記録
これは、この時の高度約31000mの音速でマッハ6.7となってます。
(音速は大気密度と気温で変わる。高度が高くなるほど低い速度で到達する)
ちなみに高高度記録ではほぼ大気圏外の107qまで上がってますから、
確かにこれはもう宇宙船ですね。
ただし、この機体はB-52の主翼下にぶら下げられて離陸、空中からミサイルのように発進、
という運用になっており、自力で離陸ができないので国際航空連盟(FAI)の公式記録としは公認されてません。
なので、あくまで非公式な参考数字といった扱いになってますが、
それでも事実として人類最速の機体なのは間違いありませぬ。
ついでに、さらに言えば「自分のエンジンで飛行した最速記録」でもあります。
自由落下で地球に帰還するスペースシャトルは時速約26000qを超えて来ますので
圧倒的にこっちの方が速いからです。
この機体の胴体下に付いてる派手な筒状のモノは増加燃料タンク、いわゆる増槽です。
X-15がA型に進化した後、採用されたものですが、この2号機でのみ使用可能だったようです。
使用後はパラシュートで回収して再利用、というスペースシャトル式の設計になってます。
機体の左右両側に1本ずつ搭載できるのですが、ロケット燃料のため、
恐ろしい事に(笑)左右で入れる液体が異なり、このため左右で重量が異なります。
となると、B-52から切り離された瞬間、機体に前後軸を中心にぐるっと回転する力が加わるわけで、
発進直後の操縦は、相当難しかったんじゃないでしょうか。
ついでによく見るとコクピットの窓に変な板がついてますが、これは窓ガラスを守るためのシャッター。
機首部には衝撃波背後熱を溶解して吸収する塗料が塗られていたため、これでガラスが見えなくなるのを防ぎます。、
それらが解けて飛び散った後、窓に張り付いて視界を奪うのを避けるためのものです。
当然、左右両方を閉じてしまったら前が見えませんから、超高速飛行中は向かって左の窓を使用、
超高速飛行終了後はこちらのシャッターを開けて着陸までを行います。
ただでさえ視界が狭い機体ですから、無茶苦茶怖かったと思いますよ、これ…
ついでに以前も書きましたが、このX-15の飛行に参加したパイロットの一人に、
後に人類初の月着陸を行ったアームストロングが居ました。
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