■アメリカ空軍博物館の基礎知識
さて、今回から本格的に空軍博物館と勝負して行く事になります。
どう考えてもエライ作業で、おそらく「F-22への道」の連載を
旅行記で再確認するような内容になって行くはずです。
書く前から胃が痛いです(笑)…。
とりあえず、予告編でも軽く触れてはいるのですが、
念のため、この博物館について、もう一度確認して置きましょう。
ちなみにここは世界最大、世界最古の軍事機博物館を名乗っております。
航空博物館どころか、おそらく屋内式の博物館としては確かに世界最大だと思われますが、
世界最古に関しては、いつ開館したと見るかで話は変わって来ます。
まず現在の場所に、恒久的な施設として設立されたのは1971年とかなり新しく、
それ以前の半屋外型の展示施設としても1956年に空軍博物館として設立されたものです。
(一般公開は正式設立より早く1955年から)
この時期なら、イギリスの空軍博物館はすでに設立されてますから、世界最古は怪しくなります。
ただしライトパターソン基地には戦前、陸軍航空博物館がありました。
1927年ごろ(大恐慌の年)から公開を始めており(正式に博物館となったのは1932年)、
これを設立時と判断するなら、確かに現存する航空博物館としては、世界最古でしょう。
ただしこの博物館は第二次大戦に伴い閉鎖され、その後、上で見たように15年近く
何の施設も存在しなかったので、これを始祖と見なすのはちょっと無理がある気が…。
まあ、それでも世界最強の軍事航空博物館なのは間違いないので、
機会があれば、一度は訪問してみる事をお勧めします。
すでに見たように大きく四つのハンガーからなるのですが、各ハンガーに付いた国籍章は
各時代のモノになってます。手前から第二次大戦直前まで、第二次大戦中、朝鮮戦争以降、ですね。
ちなみに一番奥の最新のハンガー、実験機と大統領専用機の館は空軍のシンボルマークが入ってます。
これらは全部同じ構造の、大量生産建築のように見えますが、実は全部別々の時期に建てられています。
それをキチンと同じような設計で造って外観を揃えてるのです。
一番奥と一番手前のハンガーでは45年もの時間差があるんですが、それを気付かせない
こういった建築は大したものだなあ、と変な所で感心したり。
とりあえず一番手前の第一次大戦まで&第二次大戦の展示ハンガーが一番古く、
ここは1971年ごろ建てられました。
このため、中央で二分割されており、他のハンガーのようなぶち抜きの巨大構造ではありませぬ。
その前後分割の中央部に売店やレストランの建物が1976年が追加され、そこから博物館の増設が始まりました。
以降、手前から2番目の朝鮮戦争&ベトナム戦争のハンガーが1988年に、
3番目の冷戦&近代機のハンガーが2003年に、それぞれオープンしました。
その奥にはこの写真では見えてませんが、サイロ型の弾道ミサイル展示棟が2004年に完成しています。
(さらに途中、1991年にIMAXシアターが増設されてる)
そして昨年、2016年に一番奥の実験機&大統領専用機の第四ハンガーが完成、
これでライト・パターソン基地内の旧ハンガーで展示していた機体が全てここに集合した事になりました。
(以前はその分館を見るために、空軍基地に出かけるツアーが一日何回かあった)
ここまでほぼ15年前後の期間で次々と新しいハンガーが出来てたわけですが、
これで全部のコレクションは収まった事になるので、当面、増設は無いと思われます。
(厳密にはレストア施設だけはまだ基地内に残ってるので、スミソニアンのように、これも移築する可能性はある)
まあ全コレクションを収める施設の完成に45年も掛かってるわけで、スゴイ博物館ではあるのです。
ちなみにライトパターソン基地はベラボーに広いのですが、
その比較的古い地区、南西に位置するのがこの博物館で、
旧式の三角式滑走路の上に建てられています。
その滑走路、実はまだ現役で、エアショーなどで使われてるのですが、あくまで軍事基地ですから、
民間機の乗り入れはできず、このため、基地のホームページではわざわざ
航空機で直接博物館に来ることはできません、というアメリカらしい断り書きがあったりします。
では、もう少し詳しく見て置きましょうか。
というわけで、次々に増設を重ねた結果、横で500m、奥行きで250mという巨大な博物館になっております。
それでも入り口は元からある1番ハンガーの横にしかないので、中に入って、一番奥まで行くと、
自動的に最低でも1q歩くことになります(笑)。
実際は奥行き250m分も見学しながら歩くわけで、普通に見学するだけで最低でも2q、約30分は歩くことになります。
これだけ健康にいい博物館も珍しいじゃないでしょうか(笑)
まあ、これにかなりの密度で航空機、エンジン、その他の展示がガンガンに詰め込まれてるので、
本気で見るなら一日ではとても足りないのです。
で、それぞれのハンガーの展示内容は上の通りですが、ハンガーとは別に、入り口横にIMAXシアター、
そして3番と4番のハンガーの間に縦長なサイロのような弾道ミサイルの展示があります。
といった所を理解していただいたら、さっそく見学に行って見ましょうか。
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