■日本の宣伝力

というわけで、今回のオマケコーナーはこれだよ、ペロ君。

「いや、何よこれ?」



日本軍が太平洋戦線で連合軍の兵隊さん相手にばら撒いた宣伝ビラたちだ。
絵からして、ほとんどがイギリス軍向けだと思われる。
左上は、手遅れになる前に降伏せよ!と骸骨になった兵隊さんの絵があるもの。
ただしこれ、微妙に装備も戦車もドイツ陸軍ぽくってなんで?という感じではある。

「さあねえ…」

その下は「ご注文の品でございます」と書かれていて、兵隊さんは日本軍の爆弾を、
なんかダンディーなオッサンは鳥の丸焼きをもらってる図だ。

「…どういう意味?」

さっぱり判らん。
銃後の本国ではみんないい生活してるよ、君たち前線の兵だけが損してるよ、という事か、
あるいは戦争さえやめれば、おいしいものが食べれるよ、という事か。
ちなみに兵隊さんのヘルメットからして、マレー半島あたりの英軍相手にばら撒かれたものかなあ。

「なんだかなあ…」

真ん中のはキレイなお姉さんからエクトプラズムが出てる状態…ではなくて、
水に浸かったイギリス兵の絵と「こんな状態のお前たちへ」というタイトルの下、
女性からの伝言といった形式になってるもの。
下に描かれた妙な髪型の女性曰く、
「この長い戦争で、いつになったらあなたは帰って来るの?
先に帰国したトーマスは相変わらず私を誘惑してくるわ、知ってるでしょ?
私、負けてしまうかも…」
とおっしゃっている図。

「判りやすいね」

判りやすいけど、なんでトーマスが名指して登場するのかよく判らん。
イギリス軍中のトーマスを敵に回したんじゃないか、これ。

「機関車も?」

奴は第二次大戦に従軍してないから別だ。
最後の右端のもイギリス兵向けで、
「君たちの補給船は全部沈んだよ、もう犬のエサしか君たちには無いよ、
こんなサラダとかはどうだい?君たちが決心すれば食事も変わるよ」
といった事が書かれてる。

「女の次は飯ですか」

判りやすいよね。

「なんで戦場に犬のエサがあるの?」

その点はさっぱり判らん。
が、どれもこれも妙に砕けた英語表現で、ホントに日本人が書いたのか?と思わせる文章なんだ。
正直、キチンとした翻訳は無理で、全て意訳とさせてもらった。
これ、相当なレベルの英語を使える日本人が書いたか、
英語圏の人間に日本軍への協力者がいたのか、いずれにせよちょっと驚いた。

「で、効果のほどは?」

その点はさっぱりわからん。
が、太平洋戦争中の日本軍の宣伝ビラについて、フィリピンでゲリラ活動をしていた人物に、
NHKがインタビューしたのを見たことがある。
その人はみんな争ってこれを拾った、と言っていた。

「人気はあったんだ」

あったんだけど、それは日本軍が期待したようなものでは無かった。
その老人に、なんでそんなにビラが人気だったんですか、と記者が聞いたら
「そりゃあんた、ジャングルのゲリラ部隊にトイレットペーパーの支給は無かったからね」
とおっしゃっておられた。

「ああ、そういう理由…」

これを聞いたNHK記者はクスリとも笑わず、ああこれがNHKのインタビューだと思ったものだ。

「さいですか」

といった感じで、今回はここまで。


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