■シカゴの街

さて、初日のシカゴ編に本格的に入る前に、ざっと今回の活動範囲を確認して置きましょう。

シカゴは五大湖の一つ、ミシガン湖の南西湖岸にある巨大都市です。
海みたいな大きさを持つ巨大なミシガン湖岸の奥地に位置し、運河ともつながるシカゴ川沿岸のこの地は
海運上の要所であり、アメリカの通商の一大根拠地として発展して来ました。
(ちなみにミシガン湖は九州より大きな面積を持ち、
シカゴから最も近い東の対岸まででも80q、北の対岸だと500qを超える広さを持つ。
ついでに大型船が五大湖を経由して海に出る事も可能だから、ここから船でアメリカ東海岸に向える)

五大湖の中でも、もっとも西のはずれにあるこの場所は、鉄道、航空機が発展する前は、
船によるアメリカ中部から西部への玄関口となっており、さらに鉄道時代においても
西部に向かう路線の多くがこのシカゴを経由し、交通の要衝で在り続けました。
高橋是清の明治に入ってからの二度目の渡米で(商標&特許関係の仕事をしてた時期)
ニューヨークに向かった時も、シカゴを経由し、ここで宿泊してますから、当時から大陸横断の要衝だったようです。
(今日でもアメリカの長距離鉄道輸送の50%近くがシカゴを経由するというデータもある)
さらに第二次大戦後はオヘア空港がアメリカ国内有数のハブ空港(便が集中する拠点空港)となり、
その地位は揺るがないままです。

ついでに先物取引市場と、そして、まあ、いろいろあるんですが(笑)、
とりあえず経済学(Economic Sciences)で名を売った
シカゴ大学があるため、ニューヨークに次ぐ経済の街ともなってます。
理論的な部分だけを見れば、今でも経済学の中心地かもしれません。
(個人的にはいろいろ言いたいことはあるが)
実際、ノーベル賞受賞者が団体さんで存在する
シカゴ大学(80名を超える。数えるのも面倒だ)出身者の中でも、
2017年現在でノーベル経済学賞受賞者は28名を占め、
おそらく経済学賞だけなら世界中の大学で最多でしょう。

ついでにオバマ大統領もこの大学の出身であり、あの人、ノーベル平和賞をもらってるので、
シカゴ大学のノーベル賞受賞者の一人だったりします。
さらについでに日系アメリカ人(本人がアメリカ国籍を取得)の
ノーベル物理学者、南部洋一郎さんが在籍していたのもここです。

そんな背景もあって、アメリカの中心都市の一つ、という地位を今でも維持してるのがシカゴなのです。



今回はそのシカゴに1日半だけ滞在したのですが、その行動範囲はこんな感じ。

まずは、今回もいろいろあった(笑)世界最大級の空港、オヘア空港が
街の北西部にあり、ここから市内中心部までの25qは地下鉄のブルーラインが通ってます。
だいたい45分前後の移動時間ですね。

シカゴ川の河口部とその沿岸にシカゴ中心部が広がるのですが、
ループと呼ばれる市内環状線のある辺りが旧市街の中心で、
シカゴ川の北東部にあるマグニファイセント マイル地区(MAGNIFICENT MILE)、
すなわち壮大な一マイル地区が、現在のシカゴの繁華街となります。
マグニファイセント マイルはアメリカ有数の繁華街とされますが、あくまでアメリカでは、であり、
東京、大阪、香港という東アジアの巨大繁華街と比べると地味です(笑)。

東京だと日本橋から銀座、大阪だとキタ、香港だとセントラル周辺がよく似た雰囲気ですが、
やはりロンドンのリージェント通り(Regent street)周辺に高層ビルが合体した、
といったあたりが一番、実態に近いかと。



シカゴを舞台にした映画やTVドラマではお馴染みの高架鉄道、市内中心部をぐるっと回るループ。
ただし山手線のように一周する電車は無く、四角い路線の3か所の角から入って来た列車は
最大でも3/4周だけすると、再び外に出て行ってしまうのです。
なのでどちらかといえば大阪の環状線の方が、より近い存在です。
市内中心部で多くのお客さんを拾う工夫なんでしょうが、
東京から来た人間がみるとなんか変で、そして不便です。
ちなみに、その路線も極めて小さい範囲で、東西で300m(笑)、南北で1.3qに過ぎません。

このループ周辺に公共施設、美術館、公園、劇場などはほとんど集中するのですが、
シカゴも大都市ですから、時代と共に街の中心部が移動するようで、
現在の繁華街の中心、マグニファイセント マイルはこのループの外側、北東部にあります。



そのマグニファイセント マイルの北部にあるジョン・ハンコックセンター展望台から見たシカゴ中心部。
画面中央を斜めに横切ってるのがマグニファイセント マイルの中心通り、ノース・ミシガン通り。
こうして見ると、東京や香港なみの高層都市に見えますが、あくまでこの一帯、東西1q、南北3qの中心部だけで、
それ以外は普通のアメリカの都市と同じようなのんびりした地区が広がってます。
こういった高層ビル街が街中に複数ある東京や香港とはちょっと違うのです。



マグニファイセント マイルの中心部もこんな感じで、東アジアの繁華街とはまるで雰囲気が違います。
写真だけ見たら、ここが繁華街とは信じられん、という感じですね。
まあ、全体的に高級という面もあり、上品で落ち着いてる、ともいえるのですが、
同時にそれほど興味深くも無ければ、面白くもない、という所だったりします。
ただし雰囲気はいいので、歩き回るには楽しいです。

さて、再度ここで同じ地図を。



初日の主要目的地は先にも書いたように、
シカゴ産業科学博物館(Museum of Science and Industry, Chicago)です。
ここはシカゴ中心部から南に10qほど、近所にシカゴ大学などもある文教地区にあります。
ちなみにそもそもはシカゴ万博の跡地で、そういった意味ではエッフェル塔みたいな
万博の跡地が今でも有効利用されてる例の一つだったりします。

シカゴ中心部から移動するには市内中心部で10番の路線、
博物館行きのバスに乗る必要があります。
郊外まで出る、といった感じになりますが、このバスは市街を出ると
ミシガン湖沿いのフリーウェイ(自動車専用道路)に入ってしまうため、
意外に時間はかかりません。

といった辺りが今回のシカゴ観光のおおよその線です。
では本編、行って見ましょうか。


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