■人と台湾
ここからは、人と台湾島の関係を見て行きましょう。
現在の台湾の人口は約2350万人とされ、日本の約1/5です。
国土の狭さもあり、東アジアの太平洋岸国家の中では少ない方となってます。
ところが、その都市部を見るとアジアでも有数の大都市が多く、
その人口の少なさに比べて、不自然なまでに大都市が密集する国なのです。
例えば首都の台北(タイペイ)は人口270万人。
これだけでも大都市ですが、さらに周辺の衛星都市の
新北が約395万人(台湾最多)、桃園が約210万人の人口を持ちます。
合計で875万人を超えており、東京に匹敵する規模になって来ます。
ところが台湾の場合、人口は日本の1/5ですから、
全人口の約37%、すなわち1/3以上が、この首都圏に住んでる事になります。
そしてもう一つの大都市、台湾中心部にある台中市も270万の人口を数えます。
さらに南部にある台湾第二の都市、高雄も人口275万人を超え、
隣接する台南市の約185万とあわせるとこの地域の人口は460万を超えてきます。
台北、台中、高雄&台南の三大都市圏の人口は合計で1600万人を超えており、
すなわち全人口の68%、軽く2/3以上が大都市圏に暮らしてる事になるわけです。
シンガポールのような都市国家を別にすれば、
ここまで都市密集型の人口分布を見せる国家も珍しいでしょう。
このため、わずか2350万の人口の国なのに、200万の人口を超える都市が5つもある、
(台北、新北、桃園、台中、台南)という異常な状況になってます。
さらに150万人以上という条件でなら台南も入ってくるので、6大都市になります。
人口で5倍近い日本ですら200万超えの都市は4つ(東京23区、横浜、大阪、名古屋)だけ、
すなわち台湾より一つ少ないのです。
いかに台湾が都市集中型の国家であるか、というのが判るでしょう。
先に書いたように、台湾と九州はほぼ同じ面積ですから、
九州に福岡市の人口(約150万人)を軽く超える大都市が6つも存在してる状態なわけです。
これは東京を含む、ほぼすべての日本の大都市が九州に集中してしまってる、
という異常事態に等しく、いかにスゴイ話かが判ると思います。
さらにそこに富士山を超える高山が並ぶわけですから、
なんとも情報密度の高い国ですね(笑)。
ちなみに都市部への人口密集は、山脈国家である結果という面もあり、
もともと、島の中心部から東部は山岳地帯であり、農作には適さず、
あまり人が住んでなかったようです。
人が住める広大な平地は限られるわけで、その結果なのかもしれません。
このため、17世紀以降、中国の清朝が台湾を実質支配したのは、島の西側、
現在の台湾の都市部が集中する平野部のみで、現在も人が少ない島の東部は
先住民ごと、ほとんど放っておかれた状態でした。
これが後の明治日本政府とのトラブルの要因にもなるんですが、
この辺りは、また見て行きましょう。
首都の窓口、台北駅周辺から東側を見る。
奥にはうっすらと山並みが見え、
国土全体が山がちな台湾の特徴が見て取れます。
ちなみに台北では、アジアの都市圏ではおなじみの野良犬は
ほとんど見かけず、この点は香港、ソウル並みに安全な街です。
高層ビルとかはそれほど無いのですが、
それでも台北の都会ぶりは結構すごくて、これなら台湾全体では
韓国と同じくらい、5000万人位の人口があるんだろうな、
と帰国後に確認するまでは思い込んでました。
逆に言えば、山岳地帯とかにはほとんど人が居ないはずで、
手つかずの自然が残ってるような気がしますが、
今回はそういった場所には足を延ばしてないので、何とも言えず。
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