■地獄の沙汰に関する一考察
さてペロ君、今回のオマケ編では台湾における宗教、そして経済の問題を考えてみよう。
「えらい真面目な話題だね」
無論だ。私は真面目な話しかしないよ。
とりあえず、その両者について、台北の深夜TVで見た情報で確認してみよう。
「…ああ、そう来るか。2013年のアメリカで見たアレ?」
そう、限りなくそれに近いのだが、場所は台湾、よって宗教は仏教なんだ。
台北で夜中にTVを見てると、とりあえずこんな感じの番組が多い。
しかも妙にマニアックというか、仏教世界大行進、というスゴイ状況だった。
「深夜に宗教番組をやってる、という点ではアメリカと一緒なんでしょ」
一緒だね。
あっちはキリスト教、台湾は仏教の違いはあるが、
とりあえず、それぞれを基盤にした新興宗教や、
新興の宗教団体がお金出して番組枠を買い取り、自分の宗派の宣伝の番組を流してる。
それは変わらないんだけど、そもそもそれほど仏教が盛んではない中華圏で、
こんなに仏教の団体があるとは思って無かったので意外だったんだよ。
実際、台湾の街中は道教廟ばかりで、仏教寺院なんてほとんど見なかったし。
ところが深夜のTVだけを見てると、ここはタイだろうか、
と思ってしまうくらい仏教だらけだったんだ。
「なるほど」
この番組のこの坊さんなんて母白多羅菩薩の話をしてるから、
これ、チベット密教の一派だろう。
まさか台湾で密教、それもチベット密教の話を見るとは思わなかった。
「え?中華圏でチベット密教て事は…」
そう、ダライラマとチベットの亡命政府の問題が絡んでる可能性がある。
中国本土では間違っても放送できないんじゃないかなあ。
まあ、番組中に政治色はほとんど出してないんだけど、裏ではいろいろあると思うぞ。
こちらは別の宗派の番組。
どうも宗教系の番組は英語でも中国でも言ってることがよくわからんのだが、
この人も自分の宗派の特色についていろいろ説明してるんだが、
字幕を読む限りではイマイチ、意味が分からん感じだ。
「さいですか」
ちなみに上には団体の連絡先の電話番号や、各地の集会予定が字幕で流れてた。
「さいですか」
さらにちなみに後ろの仏像は、今度こそ、
仏の事はほっとけ、というツッコミ担当だと期待してたんだが、
番組の最後までピクリとも動かなかった。
「だろうね」
こちらは仏門電話相談室、みたいな番組で、視聴者からの質問に、
おそらくエライ地位にあるらしいお坊さんが回答する、という内容だ。
「へえ」
ちなみに今回の視聴者の質問は、
とても仕事で忙しい状況で、どのように仏の教えを勉強したら、
というような内容だった。
でもって、それへの回答は意訳してしまえば、
ガッツでがんばれ、という内容だった。
「がんばれ、って感じだね」
そうだね。
が、チャンネルを回してると、このような番組も結構あるんだ。
「変わったお坊さんだね」
いや、これは違って、右下にあるように証券分析師さんなんだ。
「そんな職業があるの?」
よくは知らんが、とりあえず証券相場の予想師らしい。
右上の番組名は世界経済の事だけど、少なくともこの人は台湾の株式市場の話をしてたようだ。
「全ての深夜番組が宗教で埋まってるわけではないんだ」
というか、話はそう簡単ではないのだ(笑)。
それ以外にも、金銭道なる凄いタイトルで分析師さんが登場してたりするんだよ。
こいうった番組も、宗教番組に負けず劣らず多かった。
なので台北で夜中にTVのスイッチを入れると、そこにあるのは、仏、金、仏、金、仏、金、という状況だった。
「ある意味、すごいね」
まあ、世の中が宗教と金でできてるのが現代社会、という点では
驚くほどアメリカによく似てる。
これにスポーツなどの勝負好きの要素が加われば、ほとんどアメリカの市民感覚のTVだよ。
どうも台湾という国の文化は、思った以上にアメリカナイズされてるなあ、
と思ったタイペイの夜、というお話でした。
「せちがらいね」
まあね。とりあえず、今回のお話はここまで。
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