■台湾は萌えているか

「…で、萌えていたわけ?」

萌えてたとも、ペロ君。
必要以上に。
取りつかれたように。
こんな感じに。



「日本のアニメ絵ですが…誰よ」

台北における最大の商業地区、西門街の公式守護神、林さんだよ。
フルネームで林黙の娘さんだ。林黙娘で、リンモニャンと読むんだろうな。

「なんで名前に娘が付くんだワン?」

道教でやや身分の低い女神の事を娘と呼ぶからだろう。
ただし通常は二つ重ねて娘娘と書いてニャンニャンと読む。
ちなみに道教の目の病気を治す神様は女神なので、
その名も眼光娘娘、すなわちガンコウ ニャンニャンという
語感の暴力とでもいうべき名前なんだぜ。
ただし、後で見るように林さんを娘と呼ぶのはちょっと微妙なトコロなんだが。

「普通の商店街のマスコットでこれなんだ…」

日本で言ったら新宿、ミナミといった地域のだぜ。
しかも正式には守護神なんだ。…萌えたろ?

「で、となりに浮かんでる変なのは?」

お供の千里眼さんだ。

「……え?林さん?あれ?んんんんんんん?」

そう、気が付いたかい。
今回の記事をキチンと読んでくれた
賢明なる読者諸氏の皆様ならお判りいただけたと思うが、
これ、台湾の守護神ともいえる媽祖様の生前のお姿なのさ。



参考までに、典型的な道教廟の媽祖様の像はこんな感じ。
ちなみに、この人は清朝から天后の名を送られるほどの
高位の女神だから、その名に娘は付かない。

「これが…」



こうだ!

「詐欺じゃん!」

上にはこれも媽祖様の別名、天妃の字が見えてるから、
地元の台湾人にとってはオレらのヤング媽祖様!ってな感じなんだろうな。
天妃賜福で、媽祖様が福をくださりますように、といったところの意味だろう。

でもそうすると、本来低位の女神に与えられる“娘”の字があるのは変なんだが。
生前のお姿だからいいのかなあ。
一文字だけなので、何か別の意味になってる可能性もあるけどね。

「いや、そういった次元の問題じゃないだろ、これは」

ちなみによく見ると、もうひとりのお供、順風耳もいるね。

「台北の皆さん、本気なのかね?」



本気なんだろうなあ。
街の入り口にも、こんなのあったし。

「…すげえな、台湾」

まあ、といった感じで台湾は萌えているか、の第一弾は終了だ。

「第一弾?」

当然、第二弾もあるわけだ。

「マジっすか」

それはまた次回。

「…マジっすか」


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