■バンコクは萌えているか


「何この今回のタイトル?」

いや、夕撃旅団では世界における
日本のオタク文化をさりげなく観察してるんだが、
今回のバンコク編は、かつてない大漁だったのさ。

「はあ、さいで」

ここ数年、日本の漫画、アニメの海外展開は縮小しつつありにけり、
としか言いようがなかったのだが、バンコクだけは違った。
ここはブッチぎりで、未だに日本の漫画、
アニメがバンバンと受け入れられてるんだ。

「なるほど」

さすがは、一峰大二の漫画版スペクトルマンまで
タイ語化して売ってた国だと思ったよ。

「なんだそれ?」

12年前のバンコクデビュー戦、
ペロ君登場以前の時代の旅行で見つけた漫画だ。
日本人でも知らない人の方が多いだろう、という
特撮ヒーロー スペクトルマンの、しかも漫画版を完全タイ語化して
出版してたんだよ、この国。
こんな感じにね。



「こんな漫画もヒーローも知りませんことよ」

それが普通だと思うよ。
逆に言えば、そんなマイナーな存在まで
日本の半分の人口のこの国で出版されてたんだから、
タイの漫画文化の奥の深さがわかるだろう。

ちなみにこの漫画、街中のスーパーの本屋で売ってたんだが、
日本でこれが出たのは1972年のはずで、
2002年のバンコクでこれに出会ったときは、
もしかしてオレはここで死ぬんだろうかと、本気で不安になったものさ。

ちなみに、漫画版スペクトルマンにも
一部で有名な悪役宇宙人、ゴリ博士は登場してる。
“宇宙を旅して目に付いた” と言う
前代未聞の壮大な理由で地球侵略を始めるゴリラ風宇宙人の彼だね。
となると、タイ人がゴリ博士を知ってる可能性は意外に高いかもしれんぞ、君。

「そんなの知っててもなあ…」

まあ、とりあえず最初となる今回は軽いジャブから行こうか。

「ジャブ?」



「……」

…………ね?

「…いや、見方によっては必殺アッパーのような気がするぜ」

まあなあ。
いろいろ微妙で、典型的な“これならオレでも描ける”系だしな。

「で、何これ?」

さっぱりわからん。
実は例のドンムアン駅の歩道橋、あれを駅に降りずに最後まで行ってみたら、
空港ホテルのバーみたいな店の入口にたどり着いたんだ。

そのドアに貼られていたのがこれ。
橋はあっち、と書いてあってなんか飛行機の絵があるから、
空港までの歩道橋はあちら、の意味か、
あるいはこの店の名前がThe Bridge なのか、どっちかじゃないかなあ。

「バンコク上陸していきなりこれか…」

まあ、ここまでのはさすがに他には見なかったが、
それでもバンコクの萌文化はジワジワと迫ってくるものがあった。
その辺りは、今後、機会をみて随時紹介してゆきたいと思う。

「さいですか」



ちなみに、ホテルのテレビにもアニメ専用チャンネルがあって驚いた。
15年くらい前、20世紀末なら、香港あたりでもよくあったが、
2010年には既に絶滅してたから、今やこれは貴重だぜ。
バンコクでなら、まだまだ戦えるかもしれん。

「誰が何とだよ?」

ちなみに部屋のテレビは液晶テレビで、
同じ安ホテルでも、アメリカより20年先を行ってる、と言っていいだろう。
つーか、ここ10年ほど、こういった技術革新は
英米よりアジアが圧倒的に速いね。
なるほど、世界の中心は大西洋から太平洋に移りつつあるわけだ、と思ったり。

という感じで、今回はここまでだ。

「さいですか」


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