■ワット ポーの彫像 II
さて、そんなわけで前回に続いてワット ポーの彫像群を見て行こう。
「どんなわけだか、よくわからんのですが」
そりゃお互いさまだ、気にするなよ。
「…さいですか」
まずは例の二人組み。
「ずいぶん印象変わったね」
おそらく西洋風、なんだろうな。
とりあえず私が見た限りでは1セットしかなかったので、貴重な気もするぞ。
「どこの西洋?」
その点はさっぱりわからん。
1830年ごろにこの辺りをウロウロしていた西洋人となると
イギリス人かフランス人だろうが…
帽子からするとイギリス人かなあ…。
どちらにしろ、熱帯のタイでこんなカッコしてる連中なんだから、
あまり利巧な連中とは言えまいね。
「さいですか」
お次はこれ。
謎生物風のサル、その2だ。
「でもまあ、普通じゃないの」
造形的にはね。ここで注目は右側の像だ。
アップで見るとこんな感じ。
「微妙に顔が変?」
変というか、これ後から適当な素材でくっつけちゃってるだろう。
見ればわかるように台座からこの像までひとつの石の塊から作られてるんだけど、
顔の部分だけ、明らかに色が違うし、そもそも造形になってないよ、これ。
上の写真で左の像と比べてみてもらえば、全く別物だ。
コンクリートか何かで適当にくっつけただけじゃないか、この顔。
「なんでまた?」
詳しくはわからんが、この像、手と玉も失われてるから、
なんらからの理由で破損したのを修復したのだと思う。
が、それにしても適当すぎるだろう。
どうもワット ポー全体にこういった傾向があって、
建物やら彫像やらを結構好き勝手に改修しちゃってるように見えるんだよ。
白い壁とか、漆喰じゃな無くてペンキだよねこれ、
という場所もいくつか見たし…。
決して歴史ある建物ではないのだけど、
それでももう少し本来の姿の保全に気を配っても
罰は当たらないんじゃないかと思うよ。
「さいですか」
お次は蘇州や上海で見かけた目玉ビヨヨーン系の狛犬。
「ああ、これ意外に国際性あるんだ」
というか、おそらく中国南部で造られたのを輸入したんじゃないかな、これ。
まあ、とりあえずいい味は出してるよ。
「確かにね」
NEXT