■どうしてここに



お次は、ダグラスA-1スカイレーダー。
第二次大戦末期に初飛行(実戦参加はなし)、その後朝鮮戦争から
ベトナムまで30年ちかく、第一線で戦い続けた攻撃機です。
ちなみにエンジンはR3350ですから、B-29と同じもの。
そんな機体がジェット世代が乱舞するベトナムの空でも戦っていたわけです。

ちなみにこの機体も、解説も無ければ、
国籍マークのラウンデルもどこにもなく、
そしてこれまたタイ空軍では運用してなかったはずの機体です。

どうにも謎めいた展示ですが、どうやらベトナム戦争の最後、
南ベトナムが崩壊した時に、そのパイロットがタイまで亡命するのに
乗って来たものらしい、という話がありにけり。

まあ、例によって詳細は不明って事で…。



こちらは直線翼世代のジェット戦闘機、リパブリックのF-84G。
G型は直線翼型のF-84における最終型で、攻撃機としての能力を重視されたもの。
おそらくアメリカ空軍最初のジェット戦闘爆撃機となります。
ちなみに戦術核兵器を運用する能力も持ってました。

でもって空軍士官学校のオブジェでF-86Fがタイ最初のジェット戦闘機だと思う、
と書いてしまいましたが、調べてみたらF-84Gは朝鮮戦争直後、
1956年から導入されており、明らかにこっちが先ですね。すみません…。

これも以前は屋内展示だったんですが、現在は野ざらしになってしまってます…。



でもってここからはバックヤード、資材置き場にあった機体たち。
まずは奥の輸送機、C-123にしては変だなと思ったんですが、
どうやらこれ、アリタリアのG.222だと思われます。

1970年から運用されてる中型輸送機で、短距離離着陸能力(STOL)に優れたものです。
タイでは6機を導入、1995年から2010年ごろ(2012年?)まで運用されされてましたが、
この運用期間の短さは、例によって
まともに維持整備ができなかったんじゃないか、という気も…。
しかし、こんな機体まで運用してたのか、タイ空軍。

ちなみに少数ながらアメリカ空軍もC-27の名前で採用してまして、
たまに見かけて、双発のC-130?と思ってしまうのが、C-27(G.222)です。



その下には再びT-33A…と見せかけて、機首の形状が変ですから、
偵察機に改造されたRT-33Aでしょう。
この反対側から見ると、機首の横に大きなカメラ窓があります。
RT-33Aは、もう一機あり、そちらは次回登場。

とりあえず、この機体のコンディションはかなり悪いですね。



こちらはDC-3の軍用タイプC-47の胴体&尾翼部。

外翼、エンジンと脚の外側部分が、キレイに取り外せる主翼は、
ノースロップ式とでも言うべきもので、
当時としては、比較的軽量な構造で強度が確保できるような構造でした。
1920年代後半から30年代初期にかけて、少し流行ったスタイルです。
こうして見ると、胴体から主翼にかけて貫通する主桁がなく
外翼が完全に取り外せるその構造がよくわかるかと。

DC-3の場合、その原型となったDC-1の主翼設計にノースロップが関わっており、
その結果採用されたものだと思います。

タイ空軍はこの第二次大戦世代の輸送機を、さまざまな用途で運用したため、
20世紀の最後の段階、1997年まで現役で維持してました。
それどころか、エンジンをガスタービン(ターボプロップ)に変換した機体は
いまだに現役で運用されてたりします。

現役引退後は、映画撮影用に数機がアメリカに売られた、
という話もありますが、詳細は不明。


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