■バンコクのレストランの演出について その2

というわけで、前回に引き続いて要塞レストランの店内演出についてだ。

「はあ、さいですか」

でもって、今回はこれだ!
例の壁絵の手前に置かれていた一品だよ。



「…いや、これだと言われても…何これ?」

わからん!

「なんだ、そりゃ」

いや、中華文化圏でたまに見るお金ツリーの亜種だと思うんだが、
正直タイではどういったものなのか良くわからん。

「お金ツリー?」

道教信仰ではよく見られる、木だとか竹だとかにホンモノのお金、
あるいはお供え用の模造金、福の字のフダなどを貼り付けたもので、
これもカム カム マネーな信仰の一つだろう。
日本の七夕の願い事を書いた短冊はその亜種の一つだね。

ただし、現在の中国文化圏ではホンモノのお札ではなく、
福の字のフダ、あるいは縁起のいい赤いフダをぶら下げるのが普通で、
ホンモノの現金ぶら下げちゃってるのは、私は初めて見たよ。
共産革命前の中国で穴あき銭をぶら下げてる写真は見た事あるけどね。

「タイ人、気前いいんだ」

いや、実際にぶら下げられてるのは最大でも50バーツ(約165円)、
ほとんどが20バーツ(約70円)札だから、そうとも言い切れない。
単なる景気づけじゃないかなあ、これ。
が、さらによくわからないのは、それ以外のぶら下げものだ。

「ぶら下げモノ?」



ちょっとアップで見るとこんな感じなのだ。

「なんともカオスだねえ…」

これ、見た目もカオスなら内容もカオスで、
まず一番上、お札と並んでぶら下げられてるの、薬なんだ。

「はい?」

だから飲み薬。
左の白地に緑と黄色の帯が入ってるのはTiffyでカゼ薬、
その右、赤と白のはDecolgen で、こちは頭痛薬だ。
どちらもタイの薬屋さんなら大抵置いてあるおなじみの品となってる。

「…なんで薬を?」

さっぱりわからん。
造った人がこの頭痛薬とカゼ薬のジャンキーで、
もっとたくさん薬が手に入るように祈ったのかなあ。

「なんだそりゃ」

さらに謎なのはその下の人形で、オレンジ色の服装は
タイでは僧侶を意味するから、お坊さんじゃないか、これ。
しかもそのお坊さん人形に、ビニール袋に入れたコインが
貼り付けてあるんだ。

「もはや願い事の見当がつきませんどころか、
これ、なんか首吊り自殺に見えるぜ」

…だよなあ。
あるいは頭痛薬とカゼ薬が大好きだけどお金が無くて買えず、
悔しさのあまり首吊り自殺をした僧侶の霊をなぐさめるためのお供え?

「重ねてなんだそりゃ」

まあ、とにかく今回も哲学的な謎をほのめかしたまま、幕引きと行こう。

「ホントになんだそりゃ」


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