■タイの飲食店のセンスについて その1

さて、今回はこの要塞のレストランで見た店内装飾についてだ。

「店内装飾?」

つまり、これだ。



「……………」

……………。

「……すみませんが、解説をお願いします」

はい、わかりました。
これはレストランの壁に書かれていた絵で、船はHTMSメークロン、
右のお城みたいな建物の内、上の白い壁の構造物は
バンコクにある王宮を現してると思われます。

下のお城の城壁みたいなものは、恐らくバンコク市内、
王宮の直前に設けられた要塞だと推測され、
これの外観だけをこの後、5日目に見る事になります。

逆側、左端のタイ式の仏教寺院は
特定の寺院を示すのではなく、
日本における富士山、アメリカにおける自由の女神のような、
タイ王国のシンボルとして描かれたものだと推測します。

さらにバンコクではありえない水面の青さは
これを描いた人物の孤独への不安を示唆し、
その水面に写ってるゆがんだ寺院は
作者の両親に対する幼児期の屈折したコンプレックスを…

「はい、もういいです」

わかりました。

「この絵は結局なんなのですか?」

わかりません。
レストランの一番目立つ壁に描かれていたものですから、
ウマイヘタは別にして、明らかに客へのサービス、
すなわち店内装飾として店のオシャレ度アップのために
描かれたものであると思われます。

「これでどういった店のオシャレ成分がアップするのですか?」

わかりません。
オシャレの定義は個人ごとの幅が広すぎます。

「これは確かに善意で描かれたものなのですか。
お客への精神的な攻撃が目的だとは考えられませんか」

このレストランは明らかに営利目的で営まれており、
さらに従業員も不必要なまでに多く在籍してました。
よってその経営存続に必要とされるお客に対し、
精神攻撃をかける合理的な理由がありません。
純粋な善意による、と判断するべきだと考えます。

「そうですか」

はい、そうです。

「ありがとうございました」

いえ、どういたしまして。



「これはなんですか?」

これはそのレストランで出たクマさんご飯です。

「これもオシャレですか」

いいえ、これはオシャレではありません。
中華文化圏でよく見られる装飾ごはんですが、
タイでは初めて見ました。

「そうですか」

はいそうです。

「今回は、ここまでですか」

はい、今回はここまでです。

「そうですか」

はい、ではまた次回。


BACK